2003年9月9日発行の新聞『被団協』239号の内容をご紹介します。

『被団協』239号目次
1・原爆症集団訴訟第三陣
2・原爆症控訴第二回弁論
3・原爆症訴訟の勝利をめざし
4・核兵器廃絶・国家補償を
5・それぞれに役割果たす
6・「支援する会」発足して一ヶ月
7・11月22日から24日まで
8・ことしは嬉野温泉で

原爆症集団訴訟第三陣
8月28日、下平さんら三名が提訴

8月28日、原爆症認定集団訴訟の第三陣として、下平作江さんら3名が長崎地裁へ提訴しました。これで、長崎での提訴者は18名となります。今回の提訴者はつぎの方法で、いずれも異議申立てなりの提訴。
①下平作江さん
10歳のとき爆心地から800メートルの長崎市油木町防空壕で被爆。急性症状に苦しむ。1955年以降、病気の連続。平成13年に慢性肝炎と診断され、現在も治療中。認定申請は、起因性なしとして却下された。
②宮西敏江さん
5歳のとき爆心地から3.3キロの長与町高田郷で被爆し、その後体調すぐれず、白血球増大症などで入院も。
平成13年に悪性腫瘍で手術。認定申請は、起因性なしとして却下された。
③谷崎シノさん
当時国鉄の職員。8月11日に出張先から勤務先の浦上駅に戻り、4日間、散乱する死体の処理、焼け落ちた駅舎の片付けに奔走、その後急性症状に苦しんだ。
平成13年に悪性腫瘍で手術。認定申請は、起因性なしとして却下された。
ついで18名の弁護団を代表して中村尚達弁護団長が訴訟の意義と経過
をふくめて挨拶、裁判所に国を敗訴させるのは容易なことではないが、国民的な世論を背景に正義が私たちの個にあ ることを明らかにすれば必ず勝利できると強調しました。
同席した横山弁護士顧問、迫弁護士も、勝利をめぎす決意を披瀝しました。
このあと、「いきいきコープ」理事升本由美子さん、松谷訴訟で勝利した松谷英子さん、シャンソン歌手寺井一通さんが登場し、
それぞれに激励の挨拶を行いました。
集会は、規約に当たる 「申し合わせ」 を確認、葉山被災協会長を代表委員に選び、監事には鎌田信子さんと岡村美智子さんを選任しました。
さらに、当面、①全員の拡大、②募金運動、⑧公正判決を求める署名運動、⑥9月17日の裁判傍聴、にとりくむ ことを承認、被災協山田事務局長の認定審査の現状と問題点についての報告を受け、市民へのアピールを採択して結成集会は終了しました。

原爆症訴訟第二回弁論
九月十七日午前一〇時から

原爆症認定集団訴訟の第2回の口頭弁論が9月17日の午前10時から長崎地裁でひらかれます。この日は、被告厚生大臣の方から被爆者の側から提訴された訴状への反論がなされる予定。また被爆者の方からも意見陳述がなされます。「集団訴訟を支援する会」では、傍聴者は午前9時半までに長崎地裁へ集まるよう呼びかけています。

原爆症訴訟の勝利をめざし  
全国弁護団会議ひらく

原爆症認定集団訴訟を推進している日本被団協の全国弁護団連絡会議が、8月22日から23日まで長崎被災協の講堂で開催され、全国各地から約50名が参加しました。
第1日目は、各地の報告につづいて、裁判の途中で原告が死去された場合の裁判の引継ぎ(承継)をめぐっての提起があり、その後第1審を2年と見込んだ場合の訴訟の進行や立証計画について議論されました。
2日目の午前中には、松谷訴訟最高裁判決と、現行「援護に関する法律」の評価をめぐって意見の交換、午後は特に体内に取り込んだ放射性物質による被爆の危険性について澤田昭二名大名誉教授が発表しました。
また、23日から24日にかけては、東京、近畿の弁護団による長崎市内の現地調査も行われました。

核兵器廃絶・国家補償を
被爆5団体が厚労相へ要請

8月9日午後、プリンスホテルで被爆5団体(長崎被災協、原爆遺族会、手帳友の会、手帳友愛会、平和センター被爆連)による政府への要請が行われました。被爆団体からは、まず核兵器の廃絶と原爆の被害への国家補償を求めました。
ついで緊急な課題として
①拡大地域をめぐって生じている不合理な是正、
②原爆症認定審査の抜本的改善、
③諸手当についての手続きの簡素化、
④被爆者検診の充実、
⑤福祉水準の向上、
⑥いまなお不十分な対応に終わっている在外被爆者問題の解決、
⑦不安を抱いている被爆2世への対策、
の7項について早急な実現を要請しました。
小泉首相な来崎していたにもかかわらず被爆者の前には姿を見せず、坂口厚生労働大臣が応対しました。

それぞれに役割果たす
8.9平和祈念式典

58年目の8月は過ぎました。ことしの平和式典でも、長崎被災協の会員の方々が大きな役割を果たされました。
式典で遺族代表として吉田孝子さん(矢の平2)が献水を行いました。
また被爆者代表よして献花を行ったのは徳永勝さん(矢の平2)でした。
平山兼則さん(平野町)、百合野陽一さん(宿町)、山下功一(三芳町)、坂田朗子(昭和2)、山下良子さん(昭和3)、百瀬静訶さん(入船町)、田中和枝さん(宿町)の8名は、流れ献花に参加、それぞれに霊前に花を捧げました。
原爆死没者の名簿は式典で奉安されますが、同時に原爆中心地の碑前でもマイクロフィルムに収められた名簿が奉安されます。この奉安式には橋川秀夫さん(昭和2)が出席しました。

原爆症認定集団訴訟
「支援する会」発足して一ヶ月

広がり始めた支援の輪

長崎原爆症認定集団訴訟を支援する会が発足して1ヶ月、裁判支援の動きは広がりをみせはじめました。
原水禁世界大会で、当面の課題として論議されたのはもちろん、8月9日を前にひらかれた生協、青年団などの市民団体、労働団体などの各種集会でも、「裁判のことが聞きたい」「原爆症裁判について話してほし」という要請が相次ぎました。
支援の呼びかけ人に名前を連ねた方も、75名に達しています。
長崎被災協では、早速「支援する会」の会員募集にとりくみ、17名の会員が誕生しています。
裁判所へ公正な判決を要請する署名も、署名用紙を送ってほしいという要望がつづいています。署名も集まりはじめました。
9月12日には被爆体験を交流し、裁判勝利への決意をたしかなものとするための原告第2回目のつどいも、予定されています。支部長・会長さんへ
長崎地裁の裁判長へ公正な判決を要請する署名用紙の準備ができました。必要な部数を事務局へご連絡下さい。
それぞれの支部・会で署名運動を広げましょう。

11月22日から24日まで
ことしの地球市民集会

11月22日から24日にかけて開催される「第2回核兵器廃絶地球市民集会ナガサキ」の運営会議が、8月31日の午後ひらかれ、ことしの集会の構想が確認されました。
ことしは次の8つの分科会が設けられます。
①非核宣言自治体フォーラム
②ジャーナリストフォーラム
③非核兵器と核の傘
④米国の核戦略
⑤平和教育、平和文化
⑥核軍縮議員フォーラム
⑦NGOのとりくみ
⑧被爆者フォーラム
このうち「被爆者フォーラム」が、前回の片仮名の「ヒバクシャ」から「被爆者」に変わったのは、原爆の被害に焦点を当て、この被害をもたらした責任を明らかに、核兵器廃絶につなげようという趣旨と説明されています。

ことしは嬉野温泉で
九ブロ講習会参加者募集中

晩秋の楽しい恒例の行事となっている日本被団協中央相談所の九州ブロック相談事業講習会・・・今年は嬉野温泉「和多屋別荘」を会場に開催されます。期日は11月16日(月曜)の午後2時から翌17日(火曜)の正午まで。
長崎被災協では、貸切バスで岡町の被爆者の店横を11月17日午前10時に出発し、高速長崎道を通って嬉野へついて昼食をとったのち、この講習会に参加することにしています。帰りは、18日の講習会終了後嬉野で昼食をとって、バスで秋深い肥前路を探索し、夕方長崎へ帰着する予定です。参加費は1人1万6千円(和多屋別荘の宿泊費、懇親会費、往復の昼食費、観光施設入場料など込み)
講習会での、おなじみの肥田舜太郎中央相談所理事長のことしのテーマは何でしょうか。ユーモアのなかにも鋭い指摘を秘めた先生の講話が期待されます。
ただいま参加者を募集中です。ご希望の方は、支部や会の役員の方か、直接長崎被災協へお申込み下さい。
貸切バスの定員(50名)が埋まり次第締め切りますのでお早めにお申込みを!
ふたたぴ被爆者をつくるなの想いをふみにじつて、核実験はくりかえされ、劣化ウラン弾は使われました。こうして広がる
核汚染の実態を日本、アメリカ、イラクのヒバクシャの実態をみつめ、核時代に生きることの意味を問いかけるドキュメンタリー映画。
ヒバクシヤの姿に改めて核兵器廃棄を考えさせる作品。▽8月20日(水)午後3時半からと6時半からの2回、長崎市民会館文化示-ルで。
∇主催=ナガサキ平和映画祭実行委員会▽大人~高校生1000円。