2004年7月9日発行の新聞『被団協』249号の内容をご紹介します。

『被団協』249号目次
1・アメリカまたも核実験
2・安田純平氏の講演会に市民集る
3・全国の被爆者数
4・寺井さんのCDづくりすすむ
5・香焼被災協で交流会ひらく
6・映画紹介「父と暮らせば」
7・長崎被災協6月のうごき

公正判決要請署名提出の準備も
原爆被害実写ビデオ上映へ

12日に集団訴訟第8回口頭弁論

原爆症認定を求める集団訴訟の第8回口頭弁論は、7月12日(月)午後1時10分から開かれます。この日は懸案の証拠ビデオも上映されます。
裁判所が証拠として採用し、当日法廷で上映されるビデオ「ヒロシマ・ナガサキ 核戦争のもたらすもの」は、1982年に広島市および長崎市が企画し、岩波映画製作所が製作した映画をビデオ化したもので、上映時間は約43分。この上映のため、当日は原告の意見陳述は行われません。なお、当日の開廷は午後1時10分ですが、12時40分から傍聴券発行のための抽選が行われます。

1万8千余の署名あつまる
当日は、裁判所に公正な判決を求める署名簿も提出されます。裁判がはじまって1年余、「支援する会」が結成されて11ヶ月――この間に、県平和運動センターから寄せられた
16,463名を含めて、1万8千名を超える署名が「支援する会」に集まりました。この署名簿が、第一次分として裁判長へ提出されるのです。
「支援する会」では、さらに支援運動をくりひろげ、公正判決要請署名を集めようと呼びかけています。

安田純平氏の講演会に市民集る
イラクの実状に高い関心

ことし4月、イラクで取材中に身柄を拘束され、その後釈放されたジャーナリストの一人、安田純平さんの講演会が6月20日の午後、長崎市のNCC&スタジオで開かれ470名を超える市民が集りました。講演会を主催したのは、3月20日に反戦集会を成功させた「ワールドピースナウ・長崎」(長崎被災協も実行委員会に参加)。安田さんは、淡々とした口調で拘束時の様子、米軍占領下のイラクの現状を語りました。

遊説8月の訪米に小峰さんを派遣

日本被団協は毎年8月上旬に、アメリカの平和団体と連携して訪米遊説団を派遣してきましたが、ことしも8月3日に成田を立ち、12日に帰国するスケジュールで訪米し、証言活動に取り組むことになりました。
この遊説団に、長崎被災協からは、長崎青年乙女の会事務局長の小峰秀孝さんを派遣することになりました。

昨年より5,000人の減
全国の被爆者数

2004年度はじめの全国の被爆者の数は、昨年より5,134人減少し、273、918人となっていることが、厚生労働省の発表でわかりました。
長崎の場合も、長崎市では1,053人減少して48,749人、長崎市を除く市町村では449人減って23,110人になり、県下の被爆者数は71,859人となりました。
広島県下の被爆者数は、124,471人となっています。
ちなみに、年間の死没者数に相当する葬祭料の支給は、7,500件を超えています。

都道府県別被爆者数
(都道府県名)
(被爆者数)
北 海 道
567
青   森
91
岩   手
81
宮   城
244
秋   田
55
山   形
79
福   島
135
茨   城
542
栃   木
302
群   馬
223
埼   玉
2,502
千   葉
3,460
東   京
8,748
神 奈 川
5,743
新   潟
183
富   山
119
石   川
155
福   井
140
山   梨
124
長   野
199
岐   阜
675
静   岡
941
愛   知
3,247
三   重
673
滋   賀
485
京   都
1,535
大   阪
8,597
兵   庫
5,410
奈   良
882
和 歌 山
430
鳥   取
615
島   根
2,147
岡   山
2,907
広   島
124,471
山   口
5,269
徳   島
392
香   川
654
愛   媛
1,410
高   知
316
福   岡
9,741
佐   賀
1,869
長   崎
71,859
熊   本
2,041
大   分
1,055
宮   崎
867
鹿 児 島
1,461
沖   縄
287

合   計
273,918

被爆地の思いをこめて
寺井さんのCDづくりすすむ
被災協・被団協との共同制作で

被爆60周年にむけて、「平和」へのメッセージをこめたCDの制作が進行しています。作曲は、長崎の地で毎月9日を「ながさき・うたの日」としてコンサートをひらいてきたシャンソン歌手の寺井一通さん。
収められるうたは、
①「人を愛するということ」(詞・灰谷健次郎)
②「浦上」(詞・寺井一通)
③「祈り~母と娘の詞~」(詞・稲澤陽三)
④「今生きていること」(詞・寺井一道)
⑤「決意~原爆症認定集団訴訟支援のために~」(詞・寺井一通)
⑥「明日こそきっと」(詞・寺井一通)の6曲
6月23日には、矢ノ平の田中重光さんら被爆者も加わって、「明日こそきっと」のためのコーラスの収録も終わり、長崎被災協、日本被団協、寺井一通音楽事務所の共同制作によるこのCDづくりも最終段階に入りました。頒価は1,500円。被爆者とともに生きる長崎市民の思いを広めたい、と寺井一通さんは呼びかけています。

支部・会のうごき
香焼被災協で交流会ひらく

 
香焼被災協では、6月16日に交流会を開きました。会には14名が参加、楽しく昼食を取りながら、「来年長崎市と合併になるが、二種受診者所持者(被爆体験者)も入れて仲間をふやし、被爆者運動を続けよう」「いまの通院のためのバス代など活用できるものは活用しよう」「聞きとり語り伝えを数人で集って行おう。若い人にテープ起こしを頼むなど工夫しよう」「九州ブロックの相談事業講習会には積極的に参加しよう」「寺井さんのCDづくりに積極的に参加しよう」など活発に意見が交わされました。

~ヒロシマを市井の親娘に託して~
映画 父と暮せば
長崎市・県推薦、7月31日公開へ

<おまいは病気なんじゃ。病名もちゃんとあるど。生きのこってしもうて亡うなった友だちに申し訳ない、生きとるんがうしろめたいいうて、そよにほたえるのが病状で、病名を「うしろめとうて申し訳ない病」ちゅうんじゃ。>――あの8月6日、一瞬のうちに愛する人たちを奪われ、一人生きのこったことを負い目に思い、自分は幸せになってはいけないと、ひそかに寄せられる愛もかたくなにこばむ娘美津江の幸せを取り戻そうと、黄泉の世界からこの世に舞い戻った父竹造の言葉です。場面はあの原爆から3年後の夏の広島……。
映画『父と暮せば』は、井上ひさし氏の戯曲を映画化したもの。主人公福吉美津江を演じるのは、宮沢りえ。父竹造は、原田芳雄。そして美津江に思いを寄せる青年木下を演じるのは、浅野忠信。監督は、原爆投下の前日の長崎の人々の暮らしを描いた「Tomorrow/明日」とつくった黒木和雄氏。[Tomorrow/明日]「美しいキリシマ」につづく今回の『父と暮せば』は、黒木和雄監督の戦争レクイエム3部作を締めくくる作品です。
上映は7月31日からユナイテッドシネマで。特別鑑賞券(¥1,300)が必要な方は長崎被災協まで。


長崎被災協6月のうごき

7日 日本被団協代表理事会に出席
8日 中央相談所総会・日本被団協総会に出席
9日 日本被団協総会2日目
10日 中央行動(政府・政党などへの要請行動)に参加
15日 事務局会議・本年度事業計画の具体化について協議
安田純平氏講演会実行委員会に出席
16日 香焼被災協が交流会ひらく
20日 安田純平氏講演会
21日 8月9日の対政府要請の打ち合わせ
併せて対県対市要請行動についても被爆5団体で協議
23日 寺井一通氏のCDのためのコーラス練習と収録
いきいきコープ理事会に出席
25日 平和祈念行事実行委員会に出席
28日 事務局会議で第3回理事会の進め方について協議
29~30日 日本被団協代表理事会に出席