2010年5月9日発行の新聞『被団協』319号の内容をご紹介します。

 ◇被爆地の願いを世界へ◇
 訪米代表団を激励 
=被災協・生協連が合同壮行会=

NPT再検討会議へむけて代表団を送る長崎被災協と長崎県生協連は、4月8日、合同で訪米団の壮行会を開催し、渡米する代表団を励ましました。
今回のNPT再検討会議へ向けての訪米行動について、日本被団協と日本生協連は共同の行動で成果を挙げようと話し合ってきました。壮行会もこの趣旨にそって、共同開催となったものです。会場にあてた長崎被災協の2階会議室は、両組織からの参加者で埋りました。
渡米する代表は、長崎被災協が、谷口稜嘩会長、池田早苗理事、小峰秀孝原爆青年乙女の会事務局長の3名、県生協連が、中川原芳紀専務理事、相川加津美ララコープ副会長、前田正人ララコープ組合員室長、田村大地大学生協連の4名、合計7名でした(大学生協連の田村さんは当日欠席)。
渡米する代表は、それぞれに、被爆地の思い、被爆者のNPT再検討会議の成功に役立ちたいと決意を表明、長崎にとどまる被災協の山田事務局長は、昨年来高まっている積極的な動きの中でのNPTへの期待を述べました。

NPTへの代表団派遣で県原水協から激励金

4月30日、NPT再検討会議に向けて代表団をアメリカへ派遣する長崎被災協へ、長崎県原水協から15万円の激励金が贈られました。



◇ 5月3日に始まる ◇

 NPT再検討会議とは 


 NPTとは「核兵器保有国をこれ以上に増やさないための条約」のことです。1968年に成立し、1970年3月5日に効力を持つようになりました。日本も1976年に批准(国会で承認すること)し、加盟国の一員となりました。この条約は、加盟時に凝兵器を持たない国には、核兵器を持つことを禁止し、核兵器を持っている国(条約発足当時は、アメリカ、ソ連、イギリス、フランス、中国)は、非核兵器保有国に核兵器を渡したり開発を援助してはならず、また自分の国の核兵器を無くすためにつとめることを義務付けるという内容の条約です。
さらにこの条約は、5年ごとに会議を開いて、条約が守られているかどうかを点検することにしています。これが再検計会議と呼ばれる会議です。2000年の再検討会議は、「核兵器の全面禁止への明確な約束」を核兵器保有国を含めて全会一致で確認したのでしたが、2005年の会議では、アメリカの同時多発テロの直後でもあり、見るべき成果もなく終わりました。それだけに、ことしの再検討会議が果たす役割は重視されています。


 ますます混迷の度を深める原爆症認定行政 
 =不満なら裁判もどうぞと教示=

ふえる「却下」。一人について1分もかからない「審査」。却下理由が書いてない「却下通知書」・・・一方では7千人とも言われる審査待ちの被爆者を抱えながら、厚生労働省の原爆症認定行政は、混迷の度を深めています。

改善の意思を示さない厚生労働省
4月14日午後3時から厚生省でひらかれた被団協・原告団・弁護団と厚生労働省との「事務折衝」でも、冒頭に被団協側から「全国の会議ででてきたのが原爆症却下の数の多さ、ワンパターン(の却下通知書)に怒りの声が出た。
こんなワンパターンでは人格が無視されている、疾病の何がどうなのかわからない。」という厳しい指摘がなされましたが、それた対し厚生労働省側からは、「(今の発言は)声としては受け止めるが、今回議論するものではない」と議題に取り上げるのを拒否、さらに、「月500~600件の判断を出している中で放射線起因性か要医療性かは明らかにするが、……行政としては一定の通知方法をとらざるをえない。」と全く改善の意思が見られません。

マスコミもこのことに注目し始めました
こうした原爆症認定審査のあり方、厚生労働省の対応に、報道関係も目を向けはじめました。4月11日の朝日新聞は62件だった却下が、09年度には2134件に急増している事実を指摘するとともに、「集団訴訟の結果を踏まえれば、当然認定されてもおかしくない人が却下されている」「せめて却下理由は詳細に明かすべきだ」という日本被団協の田中事務局長のコメントも掲載しています。

法律も定めている却下時の理由提示
法律は、「却下するときには、理由を示せ」と定めています。ところが、厚生労働大臣は、この法律を無視しているのです。却下通知書を受け取った人が知りたいのは、なぜそういう結論になるのか、ということではないでしょうか。そういうことはお前たちが知ることではない–厚生労働大臣のそんな声が聞こえてくるようです。全く主権者国民を無視する態度です。

 厚生労働省が示す却下理由 

厚生労働省が却下通知書で示す「却下の理由」は、おおむね次のようなものです。
① 法で定めた原爆症とは、原爆の放射線に起因するケガや病気であって、今も治療が必要なものを指すのです。
② あなたの申請を厚生労働省の疾病・障害認定審査会の被爆者医療分科会でいろんな角度から、念入りに検討しましたが、あなたの病気は①の条件に当てはまらず、あなたの病気を原爆症と認めることは難しい、と判断したということでした。
③ そこで私(厚生労働大臣)は、あなたの申請を却下します。
あなたがこの決定に不満があるなら、この通知を受け取って60日以内に異議申し立てをすることができます。また裁判を起こすこともできます。

日本被団協の「被爆者援護法」案 

1 現行法の前文を改正し、原爆被害に対する国家補償を趣旨とし、あわせて核兵器廃絶への決意を明記すること。
2 原爆死没者の遺族に対して弔慰金あるいは特別給付金を支給すること。
3 被爆者全員に被爆者手当てを支給すること。
4 厚生労働大臣は、被爆者が政令で定める負傷または疾病に罹患した場合は、その負傷または疾病に対して医療を給付し、手当を加算すること。
5 被爆者が上記の政令で定めのない負傷・疾病であっても、原子爆弾の傷害作用による負傷・疾病に罹患した場合には、被爆者援護審議会の議を経て、厚生労働大臣が認定することができるものとする。
6 被爆2世3世に関する実態調査をし、希望するものには2世・3世手帳を発行し、健康診断・がん検診を実施するとともに、政令で定める疾病に対しては医療費支給すること。
7 在外被爆者に対しても、その国情に応じて法の完全適用をおこなうこと。
8 被爆者健康手帳の交付要件を見直すこと。


矢の平被災協が役員会ひらく

4月16日午後6時半から矢の平公民館で、矢の平被災協の役員会が開かれました。
会では、2009年度の活動報告と決算、2010年度活動計画案と予算案が提案され、意見交換ののち、いずれも承認されました。
矢の平被災協では、募金や署名活動にも積極的に取り組み、NPT再検討会議などへの募金も12万円余が長崎被災協へ寄せられました。会議の苦労や工夫などが話題とされ、いろんな発言がありました。会を辞めたいという人に、被災協の運動を話したらわかってもらえたという報告もありました。
また、集まる人は何人でもいいから、懇親会を開きたいという意見もあり、検討することになりました。

5月12日に総会 諌早被災協

諌早被災協は5月12日午後1時半から同市長田町公民館で本年度の総会をひらくことを役員会で決め、被爆65周年という節目の年の総会を成功させようと、いま準備に取り組んでいます。


長崎被災協4月の動き

2日 福田須磨子忌のつどい
3日 集団訴訟を支援する会が長崎駅前高架広場で街頭宣伝。
6日 集団訴訟を支援する会監査
8日 被災協・生協のNPT訪米団合同壮行会
10日 集団訴訟を支援する会、2010年度総会
13日 被団協援護法改正検討委員会(山田)
18日 健康友の会総会(山田)
19日 平和推進協会継承部会(谷口)
21日 平和研究所運営委員会(山田)
22日 市平和推進課と被爆者5団体の懇談(谷口・山田)
30日 NPTへの訪米団出発