2012年2月9日発行の新聞『被団協』340号の内容をご紹介します。

すべての被爆者に被爆者手帳を

=病気・障害がある被爆者には加算=

被団協の原爆症認定制度の改善案


日本被団協は、1月25日・26日の両日、東京・港区芝の東京グランドホテルで緊急全国都道府県代表者会議を開き、原爆症認定制度の抜本的改善策を決めるとともに、それを含んだ国家補償の被爆者援護法の内容を再確認しました。

① 原爆症認定制度の改善
これまで政府は、原爆の被害にまともに向き合おうとせず、被爆者対策は、原爆被害の一部に過ぎない放射線被害に固執し、それも初期放射線被害に限定してきたのでした。
原爆症認定制度は、1957年にできた最初の被爆者対策としての法律「原爆医療法」の3つの柱の一つだったのですが(あとの一つは被爆者健康手帳の交付、もう一つは公費による健康診断)、政府が初期放射線被害に固執したため、爆心地から2キロ以遠での被爆者や、入市被爆者の放射線被害には目をそむけてきたのです。

原爆症認定制度の抜本的な改善のために
原爆症対策とは、原爆の傷害作用によるケガや病気のすべてを対象とする医療と補償制度でなければなりません。 また、負傷・疾病のない被爆者も、それぞれに苦しい、悲しい体験をしてきたのです。そういうことを考慮して、これまでの原爆症認定制度をつぎのような新しい制度に変えるというものです。

1)すべての被爆者に被爆者手当を支結する。
2)障害を持つ被爆者には障害の度合いに応じて加算する。

すべての被爆者に被爆者当を支給するということになると大変な金額になる、と思われるかもしれませんが、長崎市の例をみると、被爆者数が4万908人で、健康管理手当受給者が3万9千693人なので、被爆者の97%が受給しているのです(数字は平成22年末現在)。被爆者手当の金額を健康管理手当並みにすると、全被爆者に被爆者手当を出しても、今とほとんど変らないのです。

病気や障害を持つ被爆者に加算するとしても、最高額をいまの原爆症手当並みにすれば、これも驚くほどの金額にはならないでしょう。
この構想は、近く開かれる「原爆症認定のあり方を考える検討会」へ提案されることになっています。

②国家補償の被爆者援護法
この事についてはすでにこれまでも紹介してきましたので省略します。


◇原爆症認定で口頭陳述◇
「不当な却下処分を取り消せ」
被爆者3人が厚生労働省に迫る
 

原爆症認定を申請して却下され、その却下が不当だと思われるときには、「異議申立て」をおこなって、厚生労働大臣と争います。その際文書だけではなく、口頭で意見を述べる事も出来ます。
17日に2人、18日に1人、計3人の被爆者が、長崎市議会の会議室で、厚生労働省の係官に「私の病気は原爆症に該当する」と意見を述べました。

3人のうち2人はガンで、もう治療は必要ないというのが却下の理由。2人とも担当の医師は治療中と書いているのに、医師に確かめもせずに、勝手に治療は不要と決めつけるのはおかしい、と迫りました。
もうl人は白内障。放射線によるものではないというのが却下の理由。申請書には「30歳台から視力が著しく低下した」と書いてあり、医師もまた放射線の影響は否定できないと記しています。審査のときはきちんと目を通したのかと迫りました。
厚生労働省の係官は、黙って録音を撮って東京へ帰りました。


 またもアメリカが核実験
被爆者5団体ただちに抗議 

 アメリカ政府関係の報告書によればアメリカは、昨年夏、プルトニウムを使った新たなタイプの核実験を行っていたことがわかったと報道されました。この実験は、Zマシーンと呼ばれる強力なエックス線発生装置を使って、核爆発に近い超高温、超高圧状態をつくり出し、プルトニウムに照射するという新たなタイプのもので、核弾頭の安全性、有効性を調べる新型の核実験といわれています。
この報道を受けて、長崎の被爆者5団体(長崎被災協、被爆者手帳友の会、被爆者手帳友愛会、原爆遺族会、平和運動センター被爆連)は連名で「核兵器なき世界を、とプラハで表明したオバマ大統領は就任以降、これで臨界前核実験を含め合計6回の核実験をしたことになる」と指摘、「欺瞞に満ちたこのような蛮行に対し、改めて強い憤りとともに失望を感じざるを得ない。被爆地長崎から満腔の怒りをもって抗議する」という抗議文を送りました。
日本被団協も、「核兵器の使用を前提とした実験を続け、自国の核兵器を維持する姿勢を変えていないことに、私たちは強い怒りを持って抗議する」と抗議文を送りました。


 ◇諫早で『二世のつどい』◇
 =諌早被災協役員会で決定=
2月19日・長田町公民館で  

 諌早被災協は、1月20日午後1時半から市内長田町公民館で役員会を開催、21名の役員が参加し、原爆犠牲者、東北大震塊犠牲者への黙祷ののち、当面の取り組みについて協議しました。
この中で、参加した長崎被災協の柿田事務局次長が、先般行った被爆二世へのアンケートの結果(下の表を参照)を報告、「被災協での二世の集まりがあれば参加する」と答えた119名のうち88名が諌早の二世の方々であることを指摘したことを受けて、「親としての思いを語り合い、二世にぜひ運動を継承してもらいたい」「二世のための法の整備をすすめる上でも、二世のつどいが必要」ということで早速、2月19日(日)午後2時から4時まで、長田町公民館で「諌早二世のつどい」をひらくことを決めました。
なおこの「集い」には、諌早市内の二世の方々だけでなく、近隣の二世の方々も参加されるよう諌早被災協では呼びかけています。

 

2世の皆さんへのアンケート集計結果
アンケート回答者   333名 人数
被爆体験を親から聞いたことがある 225 67.6
2世である事に不安がある 171 51.4
2世検診を知っている 124 37.2
2世検診を受けた事がある 67 20.1
健康状態は良くない 72 23.7
2世に被爆の影響はあると思う 116 34.8
東京神奈川などの2世制度を知っている 29 8.7
国への要望 ①2世対策委員会の設置 79 21.6
国への要望 ②2世の実態調査 201 60.4
国への要望 ③2世検診の充実 191 57.4
国への要望 ④被爆者と同様な手帳・手当を 156 46.8
国への要望 ⑤特に必要無い 12 3.6
国への要望 ⑥分からない 51 15.3
国への要望 ⑦その他 4 1.2
被災協での二世の集まりがあれば参加する 119 35.7

 


 映画鑑賞の場でも『署名』の訴えを 
諫 早 被 災 協

この日の役員会で諌早被災協は、長崎映画センター主催の映画『1枚のハガキ』の映写会が開かれるのを機会に、会場で入場者に「国家補償の被爆者援護法を求める国会請願署名願出署名」「核兵器全面禁止のアピール署名」を訴えることも決めました。

※映画『1枚のハガキ』
新藤兼入監督の自伝的作品。召集された100名の兵士のうち94名が上官のくじ引きで選ばれて南方や沖縄へ送られ、亡くなりました。

奇しくも生き残った監督の平和への思いをこめた作品です。この映画の上映運動をすすめている長崎映画センターは私たちが推進している「国家補償の被爆者援護法を求める国会請願署名」の趣旨に賛同し、上映会場での署名活動を支援しています。

∇上映日時・会場
・2月5日アルカス佐世保
・2月11日諌早市民会館
・2月12日長崎市民会館
・2月26日長崎チトセピア
・3月4日シーハット大村
上映時間は、どの会場でも、午前11時からと午後2時からとなっています。



新しい被爆者援護法の構想等についての支部・会での話し合いの様子をお知らせ下さい。 (事務局)


 長崎被災協55年の歩み 
(4)2010年1月~同年8月

1月27日
長崎被災協相談員の会
1月31日
九州・沖縄青年医師交流会で被爆者問題について山田事務局長が報告

2月 6日
核兵券廃絶地球市民集会ナガサキ開会(2月8日まで)
2月 9日
原爆症認定集団訴訟を支援する会が拡大運営委員会
214日
日本被団協九州ブロック代表者会議

3月12日
県生協連と合同で5月の訪米団について記者会見
3月
20日

全国原爆症認定集団訴訟弁護臥原告団、支援組織合同会議

4月8日
県生協連と合同で、訪米団壮行会

4月13日
日本被団協が現行法改正検討委員会ひらく

6月17日
日本被団協の政府などへの要請行動に6名参加
6月24日
日本被団協九州ブロック代表者会議

7月 5日
日本被団協九州ブロック代表者会議 集団訴訟を支援する会として市民から集めた公正判決要請署名を裁判所へ擾乱これまでに提出した署名は、17.434名
7月20日
原爆症認定集団訴訟(第2陣)判決。原告6名中 勝訴2名
7月24日
ララコープとの合同での訪米団帰国報告集会

8月 5日
谷口会長が長崎を訪れた国連事務総長と面談
8月 7日
恒例の立命館大学・アメリカン大学学生らと交流
8月 9日
原爆の日 内田保信氏が平和への誓い
総理大臣へ被爆者5団体で要請
この日を中心に多彩な集会が開かれ、被災協会員が被爆の実相を報告、核兵器廃絶を訴えた。
8月15日
爆心地公園の「不戦の碑」前で恒例の不戦の集い



長崎被災協 1月の動き

4日 仕事始め
6日 アメリカが前年の核実験を発表 長崎被災協として抗議文を送付
15日 市民の会としてアメリカの核実験に抗議の座り込み
健康友の会の新年のつどいで年頭の挨拶 (山田)
17日 原爆症認定で却下された2名の異議申し立て者の意見陳述(山田)
18日 前日に続いて却下された1名の異議申し立て者の意見陳述(山田)
24日 日本被団協代表理事会
原爆症認定のあり方検討会を傍聴 (山田)
25日 代表理事会 (山田)

日本被団協全国代表者会議(池田、田中、山田、柿田)

26日 午前中、代表者会議
午後、政党・国会議員へ要請行動(池田、田中、山田、柿田)
28日 「平和サミット」の件で被爆者5団体協議(山田)