2014年7月9日発行の新聞『被団協』369号の内容をご紹介します。

『集団的自衛権』容認へ
◇安倍内閣が閣議で決定◇
日本被団協は直ちに抗議の声明

安倍内閣は7月1日、遂に事実上の憲法改悪となる「集団約自衛権」の行使についての閣議決定を行いました。
それも、国会での議決を経ること無く、また国民投票も避けて、臨時閣議決定という密室での処理だけで、こうした方針を決定したのですから、民主党、共産党、社民党などが、ただちに撤回を求めたのも当然のことでしょう。7月2日付の朝刊各紙は、いずれも、この閣議決定の危険性を訴える大見出しを掲げたのでした。
被爆地長崎でも、6月30日・7月1日と続けて長崎駅前の高架広場で、集団的自衛権に反対する集会が開かれ、長崎被災協も、この集会に参加しました。
また、日本被団協は、7月1日に、「集団的自衛権行使容認の閣議決定に対し、直ちに撤回を求める」という「声明」を発表、「被爆者は先の大戦への強い反省から作られた現在の憲法を瞳のように大事にしてきました。この憲法は平和を求める人々から平和の規範とも見られてきました。この憲法の精神をないがしろにすることを、被爆者は到底許すことができません。集団的自衛権行使容認の閣議決定に抗議し、直ちに撤回することを求めます。」と政府に抗議しました。

長崎の被爆者5団体は、総理へ抗議文を送付

長崎の被爆者5団体(被災協・手帳友の会・手帳友愛会・原爆遺族会・平和運動センター被爆連)は、5月27日、「集団的自衛権の行使を目指す安倍総理に対し、抗議文を送って、抗議しました。同5団体は、同日記
者会見を行い、被爆者としての思いを、それぞれが明らかにし、安倍総理の態度は許せないと、訴えました。

被爆者5団体から総理への抗議文
内閣総理大臣安倍晋三様
私たち被爆者5団体は強い決意をもって
集団的自衛権の行使容詔について反対します
69年前の長崎は地獄でした。いや、長崎ぱかりでなく広鳥も、東京、大阪など多くの街が戦火に見舞われ廃墟と化し、そして、沖縄では本土の盾となって子どもたちまでが動員され、多くの住民の命が奪われました。また、中国や南方をはじめ多くの地も地獄でした。先の戦争で奪われた命は、アジアで2千万人、我が国でも310万
人と言われています。
戦後、我が国はこのようなことを二度と繰り返してはならないとの反省に立ち、平和憲法を制定しました。そして戦後69年間、戦闘行為により、誰一人として殺されも、殺しもしませんでした。
それがなぜ悪いのですか。なぜそれを改めねばならないのですか。どうして69年前の地獄を、私たちは再び繰り返さねぱならないのですか。
被爆者は69年間、「あの日」のことを1日たりとも忘れてはいません。私たち被爆者は、三たびあの惨禍を繰り返してはならないと、「核兵器も戦争もない世界を」と国内外に訴えてきました。
安倍総理の言う「日本または他国に対する武力攻撃が発生し、これにより日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される恐れがあることなどを事由に、これまでの憲法9条のもとに許容されている個別的自衛権の行使を逸脱し、他国の戦争に参加することは絶対に粁せません。
安倍総理、あなたは、なぜ、それほどまでして戦争をしたいのですか。
安倍総理、あなたは、なぜ、69年前のあの惨事を繰り返したいのですか。
これまで歴代内閲はおろか、あなたのおじいさんの岸信介元総理も、あなたのおじさんの佐蓋栄作元総理もこぞって、集団的自衛権の発動は「許されない」と図会の場で否定されてきたではありませんか。
安倍総理!いま、あなたがなすべきことは、平和憲法に則り、平和外交に徹し、中国や韓国等との緊張を解き、経済活動を活性化させ、国民生活の充実に向け全力を期すことではないでしょうか。
私たち被爆者5団体は69年前のあの地獄は繰り返してはならない、繰り返すことは絶対許さないとの強い決意のもと、集団釣自衛権の行使容認に反対します。2014年6月27日長崎県被爆看手帳友愛会会長          中島正徳
長崎原爆被災者協議会会長           谷口稜曄
長崎原爆遺族会会長              正林克記
長崎県被爆者手帳友の会会長          井原東洋一
長崎県平和運動センター被爆者連絡協議会議長  川野浩一

今年の九州ブロック講習会は11月2日・3日宮崎市で
九州ブロック代表者会議ひらく

日本被団協の九州ブロックは、7月1日、福岡市で今年度初の各県代表者会議を開催、当面の課題などについて交流するとともに、今年の秋、宮崎市で開催される九州ブロックの相談事業講習会について検討しました。
◇今秋の相談事業講習会について
※開催期日
11月2目午後2時開会
終了午後5時、夜は懇親会
11月3日午前9時開会
正午閉会・解散
※会場
宮崎市松山町1番1号
宮崎観光ホテル
※参加費
一人あたり15000円
お誘い合わせ、多くの方々のご参加をお願いします。
会の詳細や申し込みの手続きについては、『被団協(長崎版)』8月号の紙上でお知らせします。

この『相談事業講習会』は、九州・沖縄の8県が回り持ちで開催、講師の講話や普段は顔を合わせることのない仲間との討論など有意義な会合をつくりあげてきましたが、被爆者の高齢化も進み、開催も容易でなくなってきたのが現実です


「核兵器をなくせ、原爆の被害への国の償いを!」15日
長崎駅前で署名活動

 

7月15日午前11時から正午までの1時間、長崎被災協は、長崎駅前の高架広場で、政府に対し、『核兵器なくせ、原爆の被害への国家補償を』という願いの実現を求める街頭宣伝と署名活動を展開します。
実は先月計画していたのですが、あいにくの悪天候のために実施できず、延期していた行動です。
69年目の8月を目前にし、しかも安倍政権が、「戦争のできる国づくり」をめざし、具体的な一歩を踏み出そうとしている時だけに、この日の宣伝・署名活動は意義深い行動になるでしょう。

被爆者の皆さん・二世の皆さん!ぜひこの行動を成功させ、市民の皆さん方とともに、戦争のできる国づくりを許さない決意を示そうではありませんか。



浦上川畔に慰霊の花壇作り 被災協と二世の会が共同で

長崎被災協と同二世の会は、合同で浦上川の大橋の近くの川岸を市から借り受け、原爆死没者への慰霊の思いを込めて花壇を作ることになり、去る6月9日、被爆者と二世など15人で、浦上川で亡くなられた多くの被爆者のご冥福を祈って黙とうを捧げた後、花壇へ花の苗を植えたり、草取りなどを行いました。
この事業は、長崎被災協の理事・池田早苗さんの企画によるもので、来年の被爆70年に向けて、今年度から取り組むことになったものです。花壇には、年中花を楽しめるようにと、バーベナやマツバボタンの苗を600本ほど植えました。原爆投下後、この浦上川には、やけどを負い、水を求めてたどりついた後に亡くなった多くの遺体が山積みになっていた場所です。
来年の8月9日には、この川を花で一杯にしたいと思っています。
場所は、大橋電停そばの下大橋のたもとから下流に続く河川敷です。 (二世の会会長・佐藤直子)


募金運動へのご協力、有難うございました。
これからもよろしくお願いいたします。

『原爆被害への匿の償いを求める大運動』への募金運動は、今年から被爆70周年の来年へ向けての国家補償の「被爆者援護法」制定を目指す大運動を支える募金運動です。5月から始めましたが、6月はじめにかけて集まった募金は、6月号でお知らせしましたように、31万9千円に達しました。今月初めに集約した分を合わせますと34万5千600円となります。
ご協力頂いた方々へ心から厚く御礼申し上げます。そしてさらに、「国家補償の被爆者援護法」制定を実現するための取り組みを展開し、国会に反映させるには、まだまだ十分な金額に達したとは申し上げかねますので、皆さん方の周囲の方々へもこのことをお伝え頂きますよう、何卒宜しくお願いいたします。


5月のうごき

2日 日本被団協代表理事会(谷口・山田)
3日 日本被団協定期総会(谷口、山田、柿田、田中) 4日まで
5日 国家補償の被爆者援護法の制定を求めて、日本被団協が中央行動 (中央官庁への要請、地元出身の国会議員訪問)
12日 新聞『被団協』発送
13日 評議員会 当面の取り組みについて協議、決定
14日 市長の「平和宣言」起草委員会(谷口)
17日 大村で被爆者の集い。15名出席(山田、森内、柿田)
27日 政府の集団的自衛権行使への動きに対する抗議について被爆者5団体で記者会見。
抗議文は同日総理へ送付。
28日 広島へ向けて平和行進出発集会 山田事務局長が激励の挨拶。
30日 集団的自衛権行使に対し、長崎駅前高架広場で抗議集会。