2015年6月9日発行の新聞『被団協』380号の内容をご紹介します。

自民・公明が推進する
『戦争のできる国づくり』
自民推薦の憲法学者も違憲と判断

ことし5月12日の長崎新聞の1面トップには「安保法案全文を自公合意」の大見出しに「14日閣議決定 国会論戦本格化へ」の見出しの記事が始まり、同日の朝日新聞の1面トップには「『専守防衛』変質」の大見出しに、「安保法制11法案自公が合意」「集団的自衛権要件明記」の見出しの記事が続いていました(他の新聞もほぼ同様でしたが、紙面の都合で省略します)。いずれの記事も、その前日の14日に、歴代内閣が日本国憲法にはなじまないと、禁じてきた集団的自衛権行使などを、自民党・公明党が協議の結果、容認するとの決定を行ったことを伝える内容の記事でした。

日本国憲法は、その第九条で、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としてはで永久にこれを放棄する」と定めています。
その後、自衛隊法ができて、軍備を備えた自衛隊が誕生しましたが、これは国内へ侵入しようとする外国軍事力に対するものであって、他国で戦闘を展開するものではありませんでした。

ところが5月に誕生した自民党・公明党の構想は、外国で戦闘を展開するというのです。しかも憲法は変えないままで、自衛隊の性格を「軍隊」に変えようというのです。
そして5月15日には、戦争のできる「軍隊」にするための11の法案を国会に提出し、19日には衆議院に特別委員会を設置、20日には党首討論を、26日からは衆議院での審議開始と、安倍政権による『戦争のできる法律作り』が始まったのでした。

こうした中で、6月4日に衆議院では、自民党、民主党、維新の会がそれぞれに推薦した3名の憲法学者が参考人として招かれ、集団的自衛権を行使できるための安全保障関連法案についての意見を求められたのですが、3名はそれぞれに、「現在国会へ提出されている法案は、憲法に違反する」との見解を述べたのでした。
新聞の記事によれば、官房長官は「違憲という指摘は全くあたらない」といって、法案審議には影響がないと強調したとのことですが、政府として、国会へ招いたこの3人の法律家の指摘を無視できるはずはありません。

ところが、衆議院憲法審査会で自民党推薦を含めて3人の参考人が、自民・公明提出の法案が憲法違反と指摘したことについて、自民党の二階総務会長は、発言者を指名した自民党のメンバーを批判、「そもそもこんな人を呼んでくるのが間違い」と非難、「(参考人の発言は)あくまでも参考意見で、大ごとに取り上げる必要はない」と語ったと報道されています(6月7日付長
崎新聞)。


これがことし5月11日に自民党と公明党が合意した
地球の全域での戦争に日本が対処するための11法案

◇政府はこれを『平和安全保障法案』と呼んでいる◇

① 国際平和支援法(新しく制定)
海外で自衛隊が他国軍を後方支援する法律。
②武力攻撃事態法(現行同法を改正)
米軍や多国籍軍を地球規模で支援する法律。
③重要影響事態法(現行「周辺事態法」を改正・改称)
日本のために活動する米軍や他国軍を地球規模;で支暖する法律。
④PKO協力法(現行同法を改正)
PKO以外にも自衛隊による海外での復興支援活動を可能にした。
⑤自衛隊法(現行同法を改正)
在外邦人の救出や米艦防護を可能にした。
⑥船舶検査法(現行同法を改正)
重要影響事態で日本周辺以外での船舶検査を可能にした。
⑦米軍等行動円滑化法(現行米軍行動円滑化法を改正・改称)
存立危機自体での米軍や他国軍への役務提供を追加。
⑧海上輸送規正法(現行同法を改正)
存立危機自体での外国軍用品の海上輸送規制を追加
⑨捕虜取り扱い法(現行同法を改正)
存立危機事態での捕虜の取り扱いを追加
⑩特定公共施設利用法(現行同法を改正)
武力攻撃事態で米軍以外の他国軍も港湾や飛行場など利用可能にした。
⑪国家安全保障会議(NSC)設置法(現行同法を改正)
NSCの審議事項に存立危機事態などへの対処を追加。

(資料は、2015年5月12日付『朝日新聞』による)


被爆七十年記念誌編集すすむ

寄せられた原稿は51人になりました。あの日の悲惨なありさま、その後の苦難の道を生きのび
てきた状況、核兵器廃絶への思いなど綴られています。
今回は詩、短歌、歌謡など多彩なものが投稿されています。永年、長崎被爆者の調査をおこなってこられた一橋大学名誉教授・濱谷正晴氏に特別寄稿していただきました。
また、被爆二世の会のメンバーからも熱い思いが寄せられています。
さらに、被爆者運動を牽引してこられた歴代の会長・事務局長の原稿も掲載され、七十年記念誌にふさわしい内容となっています。
表紙は八月八日平和の泉で行われている「平和の灯コンサート」の写真に決まりました。発行は7月末の予定です。


-被爆70年- 海外メディアも取材

5月・6月・7月は、国内だけでなく、海外からの取材の申し込みが相次いでいます。
ロシア国営放送、ロシア・トゥディテレビ、スイス・NTSS誌、メキシコ・プロセッソ誌、ドイツ通信社、AP通信社などで谷口会長を始め、被爆者や被爆二世に話を聞きたいと、戦後70年、被爆70年で海外メディアも注目しています。
被爆の実相を知ってもらう良い機会ですので、事務局では日程調整をして、それぞれに紹介しています。


子供達と、ともに

被爆70年集会に向け、被爆二世の会で山里小学校や本原小学校などの学童クラブとの3月より月1回、平和の取り組みを行っています。
初回、2回目は被災協・被爆体験を語り継ぐ会の渡邊すが子さんに被爆体験を聞きました。そして3回は高校生1万人署名のメンバー5名、NPT再検討会議代表などの大学生3名も参加し、若い人たちの継承への思いを聞き、小学生たちも平和の大切さを話しました。被爆2世も大いに刺激を受けました。

次回(6月11日)は浦上川そばの緑地帯で、被災協理事の池田早苗さんから被爆当時の浦上川の状況を子どもだちと聞きます。
当日の集会には講演していただく講師や地元小学生のコーラス部などの参加も決まり、世代を超えた取り組みとなっています。


-お知らせ- 

原爆・継承コンサート
あなたと「平和の大切さ」を語りたい

日時:2015年6月28日(日)10時~16時
場所:本町アーケード(18銀行前)
入場無料

★原爆パネル展 ★平和コンサート ★平和朗読会
あなたを『まってます』一緒に語ろう
主催:長崎被災協・被爆二世の会・諫早

被災協と被爆2世の会・長崎、諫早との共催でおこなう被爆70年集会
日時:2015年8月1日(土)13時半~16時

場所:原爆資料館ホール
参加費無料

「第2回
胎内被爆者のつどい」

日時:2015年8月5日(水) 16時45分~

場所:ゆいぽーと(広島市 男女共同参画推進センター)
※来年は長崎で開催予定。
現在は40名の会員、あなたも会に入りませんか、被災協にご連絡ください。(年会費千円)