2017年11月10日発行の新聞『被団協』409号の内容をご紹介します。

被災協・新会長に田中重光氏

谷口稜曄会長が8月30日に亡くなられ、10月6日被災協理事会で後任の会長に選任されました田中重光です。どうぞよろしくお願いいたします。
被爆者にとって今年は谷口会長、土山先生、そのあと私たちの仲間の深堀悟氏、吉田勲氏が相次いで亡くなるという悲しいことがありました。
そうした中、被爆者を励ます歴史的なことがありました。
1つは7月7日に核兵器禁止条約が国連の第1委員会で122カ国の賛成によって採択されました。しかし残念ながら日本政府は会議に参加しない、安倍首相は今後も調印も批准もしないと言い、被爆者を裏切っています。絶対に許すことはできません。
2つ目は「ICAN」(核兵器廃絶国際キャンペーン)がノーベル平和賞を受賞したことです。私は今年こそは日本被団協が受賞すべきだと思っていました。しかし、被爆者を支えるICANが受賞したことはたいへん嬉しく思いました。
核兵器廃絶へ向けて、歴史的な歓迎すべきことがあったにも関わらず、日本では突然の衆院解散によって自民・公明の与党が憲法改悪の発議ができる2/3の議席を得る
に至りました。2019年に国民投票をすると改憲推進を加速させています。
第2次世界大戦を経て、広島、長崎の悲惨な歴史を二度と繰り返さないために核兵器廃絶の願いと不戦の誓いが憲法9条の中には込められているのです。
安倍政権が核兵器禁止条約に反対し、9条改憲を狙っていることは表裏一体のものだと思います。
私たちは「ヒバクシャ国際署名」と「憲法9条守れ」の願いを大きな署名の力に託し、日本政府の姿勢を変えなければなりません。
核兵器禁止条約に賛成する、憲法9条を守る政権を樹立することです。
そして被爆者運動を継承していくには組織体制の強化が必要です。
・被爆者は子どもたちに被爆体験を語ってください。
・二世、三世はバトンを受け継ぎ、被爆の実相を語ることができるようになってください。
・休眠状態の支部を活性化すること、
・被爆者運動を支援している人たちとの交流を深める
・二世、三世の組織を強化する
私たちは子ども、孫、ひ孫が戦場に送られないよう、核兵器が廃絶されるまで運動を後世に引き継いでもらわねばなりません。
人類を救うために、昨日より一歩進んだ自覚で頑張りましょう。会員皆さんのご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。                  (会長・田中重光)


◆核兵器廃絶へと駆け抜けるオートバイ◆
現在彫刻家の音琴和彦氏より贈呈

 

11月7日、富山県の日展作家である音琴氏から被爆地長崎で展示してほしいと被災協へ贈られました。
これは長崎の樹木医、海老沼正幸氏から台風で傷ついた被爆クスノキの枝や幹を譲り受け、2017年に核兵器廃絶へと走り抜けるオートバイを制作されました。
今年6月、長崎被災協・被爆二世の会・長崎で海老沼氏を講師に招き、被爆クスノキを世界に贈る平和活動について講演会を開催したのが縁で被災協に贈呈されることになりました。音琴氏は「作品を通して若い人が平和について考えるきっかけになれば」と話していました。


大村支部のつどい

11月7日、シーハット大村で大村支部のつどいを開催しました。
橋支部長、横山副会長の挨拶、寺坂副支部長が大村支部の活動を報告しました。総会の報告資料を持って会員の方々の家庭訪問をおこなっていることや、ヒバクシャ国際署名活動を園田大村市長と一緒にできた喜びなど話されました。
参加者はそれぞれの近況を意見交換し、朝日新聞の長崎原爆被爆者ノートにご自身の被爆体験が掲載されたことなどを話されました。
被爆2世として支部を支えている大宮さんは「酸素ボンベを引っ張って参加する人の姿に、この集いは重要です。このような被害をもたらす核兵器は人類に必要ないという思いで自分の深奥に響き渡り、未来を担う若い人たちに伝えたいと思いました。今後、地域の小・中学校の平和教育で被爆体験講話を行う場を早く実現したいと強く思いました。」(大宮美喜夫)

 


 


故谷口稜嘩氏、栄誉市民表彰
10月25日、長崎市の田上市長はこれまで被爆者として国内外に核兵器廃絶を訴え続けた故谷口稜曄氏を栄誉市民として表彰しました。
長女の寺坂澄江さん、長男の妻の谷口福美さんと被災協の田中会長が同席しました。寺坂さんは受賞のお礼を述べ、「日本政府が核兵器禁止条約に参加してくれたら、父がどんなに喜ぶでしょう。」と話しました。


ヒバクシヤ国際署名をすすめる長崎県民の会
1周年のつどい

11月4日(土)被災協地下講堂で10時半から正午まで「ヒバクシャ国際署名をすすめる長崎県民の会1周年のつどい」が開催されました。2020年秋までに長崎県内で50万人分の署名を集める目標で取り組んでいますが、この日、生活協同組合ララコープの井手こずえ会長が112,780名分の署名を朝長万左男共同代表に寄託しました。11月4日現在274,182筆となりました。
被爆者5団体から川野・被爆連議長、本田・遺族会会長、被災協から田中会長が挨拶し、日本政府が条約に参加するようさらなる署名への支援を求めました。
長崎大学RECNA副センター長の広瀬訓氏が「核兵器禁止条約をめぐる国際情勢」について講演し、そもそも軍事力で守る国とは何なのか、安全には何が必要なのか議論していこう、市民社会の力で核兵器廃絶へ向け、次の一手をと述べました。
大村9条の会は9月20日、ヒバクシャ国際署名の街頭宣伝をおこない、50名の参加で園田裕史大村市長が参加した経緯、活動を伝えました。
朝長共同代表は「『核兵器禁止条約は意味がない』と核保有国が言うが、それだけ追い詰められている。我々は2年目を元気に頑張ろう。」と訴えました。


事務局日誌

10月 2日 三役会
10月 5日 署名事務局会議

10月 6日 第3回理事会、ノーベル平和賞発表
10月 10日 新聞発送作業
10月 11日~13日 日本被団協代表者会議・中央行動(田中、横山、柿田、佐藤)
10月 14日 医福懇総会(柿田)
10月 21日 長崎県民の会1周年つどい10時半~正午
10月 25日 故谷口稜曄氏栄誉市民表彰(田中)
10月 26日 街頭宣伝
10月 30日 谷口さん偲ぶ会実行委員会
11月 4日 ヒバクシャ国際署名をすすめる長崎県民の会1周年のつどい、県9条の会(横山)
渡辺千恵子さん墓前祭(田中、横山)
11月 7日 ノーモアヒバクシャ訴訟、被爆クスノキ彫刻贈呈式


これからの活動

11月 9日(木)署名事務局会議 10日(金)新聞発送作業
11月 11日(土)二世の会・長崎「平田周氏講演会」10時~正午
原爆資料館平和学習室  参加費無料
11月 12日(日)孫崎享氏講演会 14時 県立図書館2階 会費          1,000円 /長谷部恭男氏講演会 14時 長崎大学良          順会館ボードインホール 会費1,000円
11月 17日(金)偲ぶ会資料とじ作業・二世の会
11月 18日(土)谷口さん偲ぶ会 11時~13時半 ニュータンダ
会費4,000円
11月 26日(日)~27日(月)被団協九州ブロック講習会(宮崎)