2019年12月9日発行の新聞『被団協』434号の内容をご紹介します。

ローマ教皇フランシスコ
爆心地公園で平和のメッセージ

11月24日(日)激しい雨の中、ローマ教皇フランシスコは長崎市の爆心地公園を訪問しました。被爆者や市民、学生など約1,000人が集まりました。被災協から15名参加しました。
ローマ教皇は被爆者代表の下平作江さんらから花輪を受け取り、中心碑に献花し、原爆犠牲者のために無言で祈り、黙とうをささげました。 教皇は長崎を「ここは核兵器が人道的にも環境にも悲劇的な結果をもたらすことの証人である町です。」と述べました。

さらに「軍拡競争に反対する声が、小さいながらも常に上がっています。」と述べ、「軍備拡張競争は貴重な資源の無駄遣いであり、本来人間と自然環境の保全に使われるべきものです。」と批判しました。また、武器の製造や改良に財を費やし、破壊的になっていることは「テロ行為です。」と断言しました。
そして教皇は「今、拡大しつつある相互不信の流れを壊さなければなりません。」と訴えました。「核の理論によって促される不信や敵意の増幅を止めなければならない」と訴え、相互不信によって、兵器の使用を制限する国際的な枠組みが崩壊する危険性があると述べました。

「核兵器から解放された平和な世界。それはあらゆる場所で数えきれないほどの人が熱望していることです。この理想を実現するにはすべての人の参加が必要です。個々人、宗教団体、市民社会、核保有国も、非保有国も、軍隊も、民間も、国際機関もそうです。核兵器の脅威に対しては一致団結して応じなくてはなりません。それは現今の世界を覆う不信の流れを打ち壊す、困難ながらも堅固な構造を土台とした、相互の信頼に基づくものです。」と訴えました。
まさに被爆者と、核兵器廃絶に取り組む人々に勇気を与えるメッセージでした。


九州ブロック相談事業講習会

11月16日(土)14時より熊本市中央区の三井ガーデンホテルで日本被団協中央相談所委員会・九州ブロック相談事業講習会が開催され、100名が参加しました。長崎から被爆者7名、被爆2世10名、市民2名の計19名が参加しました。
「核兵器廃絶と被爆75年に向けた被団協の運動」と題して日本被団協代表委員の田中熙巳氏が講演、また「被爆者の相談活動―介護問題を中心にー」では、中央相談所委員・相談員の原玲子氏が講演しました。
懇親会では、各県の被爆者が長崎の同じ町で被爆した人同士で当時の町の様子など話しこむ姿が見られました。
懇親会のあと、二世交流会では九州の二世たちと田中熙巳代表委員 、原 玲子相談員らが参加し、今後の被団協や各県の被団協、二世の会について、また二世健診について意見を出し合いました。


2020 年NTP再検討会議へ 被災協より代表派遣
2020年4月末から米国ニューヨークの国連本部で行われるNPT(核不拡散禁止条約)再検討会議に、会長の田中重光氏、評議員の田中安次郎氏を派遣することが第4 回理事会で決まりました。
核兵器禁止条約は50ヵ国になると発効します。現在の批准国は34カ国で、まさにあと少しという段階に来ています。
日本被団協の54名の代表団として国連では各国代表にロビー活動を行い、原爆展で核兵器廃絶を訴え、学校などで被爆体験を語ります。
NPT代表団に私たちの声を托し、核兵器廃絶を訴えてもらいましょう。核兵器禁止条約を実現させましょう。米国への旅費、宿泊費が一人50万円です。いくらでも結構ですので、寄付にご協力をお願いします。

郵便振替01800-8-12398
財団法人長崎原爆被災者協議会あて


最高裁へ公正な判決を
11月15日、最高裁へ被団協、原告団、弁護団、支援者が公正な判決を求めて要請行動を行いました。長崎から田中会長が参加しました。
被団協が呼びかけた「被爆者の手紙」95通(長崎から13通)を提出しました。その中から3通を読み上げ、被爆者の苦しみが今も続いていることを訴えました。
なお、最高裁へ公正な判決を求める団体署名に取り組んでいます。12 月末日〆切です。


福岡高裁・原爆症認定訴訟
福岡高裁では2名の原告(女性・被爆当時7歳、爆心地より4キロ被爆、慢性肝炎)(男性・被爆当時3歳、爆心地より2.5キロ、皮膚ガン)がたたかっています。12 月10 日(火)14時半より開かれる口頭弁論では迫光夫弁護士、中村尚志弁護士2 名が意見陳述をおこないます。長崎から4名が傍聴に出かけますが、毎回、福岡県被団協、福岡県原水協などの支援傍聴があり、たいへん励まされています。


被爆75 周年記念誌原稿募集!!
被災協では被爆体験証言集を、2020年8月9日に出版するため、原稿、一言メッセージ、俳句、短歌、写真などを募集しています。
今までに被爆体験は書いたことがあるという方も、この75年をどのように生きてきたのか、あらためて戦争、原爆、平和について私たちの思いを次の世代に残しましょう。
二世の方も二世として親への思いや平和について書いてお送りください。
被爆体験の聞き書きも進めていきます。被爆体験を話してみようと思われる方、被爆体験を聞いて書き取る活動をしてみようと思われる方、ぜひご協力をお願いします。2 人ほどで被爆者の話を聞き取り、記録して残します。

お電話ください。(電話:095-844-0958


事務局日誌 11月

4日(月)ノーモア訴訟全国会議

8日(金)長崎市被爆75 周年事業授与式

10日(日)浦上川緑地帯花植え活動

11日(月)新聞発送

13日(水)署名事務局会議

15日(金)ノーモア訴訟最高裁要請行動

16日(土)日本被団協九州ブロック講習会・熊本

24日(日)ローマ教皇来崎・爆心地公園

25日(月)三役会、第4 回理事会

26日(火)国際署名街頭宣伝

12月の予定

1日(日)ノーモア訴訟全国会議(柿田)

6日(金)75 年記念誌・第1 回編集会議

8日(日)不戦のつどい

9日(月)新聞発送、「長崎の郵便配達」映画試写会

10日(火)ノーモア訴訟福岡高裁口頭弁論

12日(木)署名事務局会議

18日(水)長崎市民平和行進部会(田中)

26日(木)国際署名街頭宣伝16 時・浜クロス前

28日(土)~ 1月5日(日)年末年始休み


 

今年も長崎市役所従業員組合から「いわさきちひろカレンダー」が50名の一人暮らしなどの被爆者の方々へ贈られました。
また原水爆禁止長崎県協議会より病気や高齢の被爆者103名に年末見舞金をいただきました。
ありがとうございました。