2008(平成20)年度事業報告


私たちはこの1年、私たちが掲げた6課題に向き合い、その達成のために力を注いできました。しかし、これらの課題は、決して単年度で終わるものではありません。
私たちは、これらの課題にことしも気を緩めることなくとりくんでゆきます。 たとえば憲法「改正」をめぐる動きにしても、小泉政権、安倍政権下のような賑やかさはなくなったとはいえ、決してその動きがなくなったわけではありません。
憲法「改正」問題は、決して与党の専売品ではないことにも目を向ける必要があります。現に、自衛隊の海外派遣を恒常的に容易にするための法的整備が画策されています。また、憲法「改正」のための国民投票法(2007年5月制定)が施行される 2010年5月は、もう目前です。こうしたときだけに、私たちは被爆者としてこれらの動きにどう対処できるかを常に考え、長崎の地で「ノーモアヒバクシヤ9条の会」の運動をどのようにすすめてゆくかを、検討する必要があります。
原爆被害の実相を明らかにし、ひろめてゆくとりくみについても、これまでのような進め方でいいのかを常に点検し、検討し、実践しなければなりません。

また、原爆症認定のあり方について「新しい方針」がつくられ、それにもとづく審査が始まったいまだからこそ、原点に立ち返って、原爆症認定制度とはいったい 何なのか、それは原爆の被害への国の償いを求めてきた私たちの基本的な要求の中でどう位置づけられるのかを改めて検討し、それがいまどうなろうとしているのかを見極めなければなりません。いまこそ、こうしたことに被爆者としての英知を結集する時なのです。

私たちは、昨年度の課題と成果の上に立ち、精一杯被爆者としての運動をすすめます。

 

  1. 「原爆被害者の基本要求」を身につけ、私たちの要求に確信を持ち、「ふたたび被爆者をつくるな」の運動を推進します。
  2. 政府の被爆者対策の問題点を明らかにし、その是正を求めるとともに、東京大空襲被害者の補償請求訴訟などとの連帯を強め、戦争被害受忍論の打破と原爆 被害、戦争被害への国の補償の実現をめざします。
  3. 上の(1)(2)のとりくみを発展させるためにも、原爆被害の実相普及にとりくみます。昨年出版した『明日を生きる者たちへ』の普及につとめます。
  4. 被爆者の高齢化にともない、集会などの取り組みが困難になっている現実はあるとしても、「ひとりぼっちの被爆者をつくらない」工夫と努力をかさねます。
  5. 現在の財団法人から新制度の下での公益財団法人化をめざすとともに、事務局 体制を強化し、併せて財政基盤の確立をはかります。

 

 

新しい審査の方針

平成20年3月17日 疾病・障害認定審査会 原子爆弾被爆者医療分科会

疾病・障害認定審査会運営規程(平成13年2月2日疾病・障害認定審査会決定)第9条の規定に基づき、原爆症い認定に関する審査の方針を次のように定める。原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(平成6年法律第117号。) 第11条第1項の認定に係る審査に当たっては、被爆者援護法の精神に則り、より被爆者救済の立場に立ち、原因確率を改め、被爆のの実態に一層即 したものとするため、以下に定める方針をを目安として、これを行うものとする。

第1 放射線起因性の判断
1 積極的に認定する範囲
①被爆地点が爆心地より約3.5km以内である者
②原爆投下より約100時間以内に爆心地からから約2km以内に入市した者
③原嬢投下より約100時間経過後から、原爆投下より約2週間以内の期間に、
爆心地から 約2km以内の地点に1週間程度以上滞在した者から、放射線
起因性が推認される以下の疾病については、格段に反対すべき事由がない
限り、当該申請疾病と被曝した放射 線量との関係を積極的に認定するもの
とする。
A)悪性腫瘍(個形がんなど)
B)〉白血病
C)副甲状腺機能亢進症
D)放射線白内障(加齢性白内障を除く)
E) 放射線起因性が認められる心筋梗塞
この場合、認定の判断に当たっては、積極的に認定をこ行うため、申請者から
可能な限り客観的な資料を求めることとするが、客観的な資料が無い場合にも
申請書の記載内容の整合性やこれまでの認定例を参考しつつ判断する。

2 1に該当する場合以外の申請について
1に該当する場合以外の申請についても、申請者に係る被曝線量、既住歴、
環境因子、生活歴等を総合的に勘案して、個別lこモの起因性を総合的に
判断するものとする。