「原爆症認定集団訴訟を支援する会・長崎」
市民の皆さんへ
市民の皆さん!いま全国8つの地方裁判所で、11都道府県78名の被爆者が原爆症認定をめぐって国を相手に裁判を起こしていることをご存じでしょうか。このようなことを裁判で争わなければならないのは、本当は悲しいことです。しかし被爆者が裁判に訴えなければならないほど、国の被爆者行政は本来の趣旨を離れ、被爆者にとって過酷なものになっているのです。
原爆症認定制度とは、国が被爆者のケガや病気を原爆の放射線に起因すると認めた場合、その被爆者を国が救済する制度です。しかし、放射線が目にも見えず、匂いもないことを隠れ蓑に、国は放射線の影響をきわめて消極的にとらえ、この制度の運用にきびしい枠をはめ、被爆から58年目を迎えるいまもなお、原爆が被爆者の身体を蝕み続けている事実を認めようとしません。
いま全国に広がっている原爆症認定を求める裁判は、このような国の対応に我慢できない被爆者が、国の姿勢を正そうと起こした裁判です。現在、長崎地裁では15名の裁判が進行しており、7月2日につづいて9月17日には第2回の口頭弁論がひらかれます。
私たちは、この裁判は決して原告である被爆者だけのことではないと思っています。
もともと原爆の被害は、国がはじめた戦争のせいで、そしてその戦争を国が継続したために、被爆者が被ったものなのです。国はその被害を償うのが当然なのです。それなのに国が原爆の被害を補償するどころか、被爆者の救済にさえきびしい枠をはめるのは、核の傘に依存し、核兵器を容認している国の姿勢と深い関係があると思わざるをえません。
私たちはこの裁判を通じて、国の被爆者行政の抜本的な転換を実現し、ふたたび被爆者をつくらない日本を築く大きな一歩にしたいと考えます。
市民の皆さん!身体の不調に屈せず、裁判にとりくむ被爆者を励ましましょう。原爆症認定集団訴訟の意義を広め、裁判支援の輪をいっそう大きくしましょう。国の被爆者行政を是正させ、二度と被爆者をつくらない日本を築きましょう。
2003年8月2日 長崎原爆症認定集団訴訟を支援する会