2010年2月9日発行の新聞『被団協』316号の内容をご紹介します。

◇はじまった「確認書」にもとづく定期協議◇
 次回はことし10月に開催か 
=長崎からも森内さん、柿田さんが参加=

  昨年8月6日に日本被団協と総理大臣との間で交わされた原爆症認定集団訴訟終結に関する基本方針に係る「確認書」にもとづく、第1回の協議会が、1月14日、厚生労働省9階省議質で開催されました。

協議会では、冒頭に長妻厚生労働大臣と日本被団協田中事務局長が挨拶ののち、長崎 被爆・熊本在住の中山さんと広島被爆・東京在住の川上さんがそれぞれ被爆体験を静した後、1月8日に日本被団協、原告団、弁護団が提出した「統一要求書」(内容については下記参照)について、宮原弁護団事務局長が説明、厚生労働大臣の回答を求めました。
このなかで、定期協議の開催を 概算要求前の7月に毎年開きたいという自本被団協側の要 求に対して長妻厚生労働大臣は、ことしはもうー度、できれば10月に、と答え、具体的な日時はこれから調整することになりました。

認定の緩和には法改正が必要(厚労大臣)
また、密室の作業となっている認定審査の進め方についても、厚生労働大臣は認定審査業務に支障を生じない範囲で踏み込んだ情報開示を検討したい」と答えました。さらに認定審査基準の改定については、厚生労働大臣は、これ以上の認定の緩和は現行法上はむり、という見解を示し、現在以上の改善には、「法」改正が必要と主張しました。さらに審査を待っている被爆者滞留者)問題については、「迅速に対応することが必要」という認識は示したものの、「検討したい」に留まりました。
このあと、厚生労働大臣の発言をめぐって被爆者の側からの発言があり、第1回目の「定期協議」は1時間で終了しました。この協議に長崎の原告団長森内実さんと長崎被災協専務局次長林田富美枝さんが参加しました。

1月8日に厚生労働大臣へ提出した「統一要求書」のあらまし

日本被団協、原告団、弁護団が、1月8日に長妻厚生労働大臣へ振出した「統一要求書」 は、A4の用紙4故に及ぶものです。
その概要は、以下のとおり。1月14日の大臣との協議では、この要求書をもとに行なわれました

  1. 定期協議のあり方について
    (1)定期協議の開催は原則として、予算の概算要求前の7月とされたい。
    (2)協議への出席者…省略
    (3)協議は公開すること。100人程度は収容できる傍聴席を用意すること。
    マスコミにも公開すること。
    (4)協議は、事前の統一交渉団との話し合いにもとづき進行すること。
    協議時間は、少なくとも1時間を確保すること。
  2. 認定基準・認定実務に関する要求
    (1)密室で進行している認定作業についてできる限りその内容を公開すること。
    (2)現行事査の方針を改定すること。
    ①積極的藩定については放射線起因性の文言を削除すること。
    ②積極的認定の「爆心地からの距離」などの線引きを再検討すること。
    ③総合的藩定について、裁判席の判断を尊重すること。
    またガンについては放射線起因性を特に否定するものがないときは認定すること。
    (3)滞留者問題について
    ①申請者数や滞留者数の推移、などについての情報を開示すること。
    ②解決のための業務計画を作成すること。
    広島・長崎での事査実施の可否についての見解を示すこと。
    (4)原爆症謬定着査を行なう医療分科会委員を交代させること。
    旧事査の方針時代の委員を交代させ、統一交渉団が推薦する専門家をふくめて  新たな委員を選任すること。
    (5)現在、過酷もしくは過剰と思われる資料が申請に際して要求されていることを改善すること。
    ①各種検査結果の報告を求める場合にはその必要性を明らかにした医師宛の書面を用意すること。
    ②被爆状況の確藩に当たっては、本人の申述を尊重すること。
  3. 認定制度の改定
    原爆症認定お問題の解決のためには、制度の改定に踏み込む必要があり、制度改定は、必然的に法改正を伴うので、被爆者対策全般にわたる慎重な検討が必要となる。同時に現行制度の中でもできる限りの改善を図るべきである。
  4. 作業部会の設置
    定期協議のほかに作業部会を設置すること。当面必要な作業部会は、
    ①認定基準の運用と改定を検討する作業部会、
    ②認定制度改定に関する諸問題を検討する作業部会である。なお必要に応じて連絡を  取り合えるように副大臣、政務官から被爆者問題の担当者を選定されたい。


◇全国弁連・支援団体合同会議◇

 「基本法」成立後の取組みを協議 
 =1月24日 東京・芝福祉会館で=

昨l月24日東京・芝福祉会億で、1月24日午後1時から東京・芝公園福祉会館で、原爆症認定集団訴訟の全国弁連・支援団体合同会議が開かれ、長崎からは長崎被災協理事田中重光さんと事務局次長柿田富美枝さんが参加しました。
この会話は、「基金法」の成立を受けて今後どうとりくむかということと厚生労働大臣との第1回の「協議」の結果をふまえ、今後の課題を明らかにすることにありました。会議では、まず各地の裁判所での状況を確認し、「基金法」についてはその内容と今後の対応について安原弁護士
が提起しました。
このあと大臣との「協議」について、大臣が法改正に固執したことに関連し、改正しなくても「放射線起因性」の枠を取り払う
ことは可能との弁護士からの指摘もありました。また、これからの国家補償の被爆者援 護法をめざすとりくみでは、被団協での検討の様子が報告され、空襲被害者との連携を重視すべきだという積極的な発音が続きました。


 全員勝訴を実現しよう! 
=支援する会が街頭演説=

寒風吹きすさび、小雨もまじる1月23日の午後1時から1 時間、長崎駅前の高架広場で、集団訴訟支援する会長崎は、裁判 支援を訴える恒例の街頭宣伝行動にとりくみました。この日の責任団体は長崎県原水協。原水協のメンバーに、長崎被災協の5名も加わって、 5月幻日の判決での全員勝訴の判決を実現しようと通人へ呼びかけ、「完全勝訴をかちとろう」と訴えるチラシを手渡しました。
指先も凍えるような日でしたが、それでもチラシを受け取る人は絶えず、裁判の状況を尋ねる人もありました。この日の成果は署名76筆、募金2,500円。配布したチラ シは、約500枚でした。



 日本被団協をことしのノーベル賞に推薦 

国際的な平和団体である 国際平和ビューローがことしのノーベル平和賞候補に日本被団協を推薦したという知らせが、日本原水協高草木事務局長から長崎被災協へ届きました。
国際平和ビューローは日本被団協を推煮する理由はとして4項をl挙げています。それは①被爆者は、前世紀のもっとも恐るべき破壊行為の後遺のなかで、計り知れない勇気をもって65年の歳月を生き、自らの苦しみを今なお続く大量破壊兵器の脅威への積極的で長期の抵抗に変える方途を見出してきた。
②被爆者の社会では、 構成貞が歳月とともに衰えていく。世界が顕彰するのは今をおいてない。
③国際社会の最も権威ある栄誉を 核の犠牲者に授与することは、核拡散の危険にとどまらず、2009年ノーベル受賞者パラク・オパマの政治的イニシヤチブなどによってもたらされた軍縮の重要かつ新たな可能性に世界世論の目を開かせることになる。
④ この指名がアルフ レッド・ノーベルの遺志に合致すると信じている


長崎被災協1月の動き

4日 仕事始め
8日 ララコープから年始のご挨拶に来訪

新聞『被団協』発送作業

10日 長崎平和研究所運営委員会 (山田)
13日~14日 日本被団協代表理事会が閉らかれたが大雪のため参加できず
14日 「協定」にもとづく厚生労働大臣と原告団、弁護団、日本被団協の代表との第1回協議 (森内・柿田)
16日 地球市民集会実行委員会
(谷口)
23日 集団訴訟を支援する会が長崎駅前高架広場で街頭宣伝
24日 原告団・弁護団・支援する会
全国代表者会議 (柿田・田中)
原嬢病院運営委員会 (谷口)
26日
いきいきコーププ理事会 (柿田)
27日 被災協相談員の会
30日 長崎平和研究所総会
31日 九州・沖縄青年医師交流集会 (山田)