2010年3月9日発行の新聞『被団協』317号の内容をご紹介します。

◇NPT再検討会議のニューヨークへ◇
 谷口会長ら3名の派遣を決定 
 =09年度第6回理事会ひらく=

 長崎被災協は、2月24日午後2時から、今年度第6回理事会を開催、ことし5月にN PT再検討会議が開かれるニューヨークへ谷口会長ら3名を派遣することを決めたほか、
①集団訴訟の現状と課題ついて、
②現行「援護に関する法律」の改定をめざすとりくみ、
③非核三原則の法制化をめざす地方議会へのはたらきかけ、
④当面の集会などへの参加、
について協議し、5月28日に予定している第58回定例評議員会までの主なとりくみを確定しました。

ニューヨークへ派遣するのは、長崎原爆被災者協議会会長の谷口稜曄氏、長崎原爆被災者協議会理事の池田早苗氏、長崎原爆青年乙女の会事務局長の小峰秀孝氏の3名です。
4月30日に成田を立ち、5月1日から5日まで、会議への出席、行動への参加、証言活動など多彩な活動を展開します。国連本部では、5年前よりも規模を拡大した原爆展が開催されます。
そして6日にはニューヨークを離れ、5月7日に成田帰着の予定です。現地では、アメリカ滞在の日本人有志が通訳などで活躍されるとのことです。
なお、日本被団協の代表団は総勢50名を超える見込み。
また現地では日本生協連と合同の行動になる予定で、長崎でも、派遣についての記者会見など、県生協連と合同で行なうことになりました。


4月8日には壮行会

代表団の出発を前に、4月8日午後1時から長崎被災協2 階会議室で、県生協連と合同の壮行会を開くことになりました。県生協連から派遣される代表は、4名の予定です。

非核三原則の法制化求めて

理事会では、いまこそ非核三原則を「国是」ではなく法律にすることが必要だということを確認し、県議会、長崎市議会はじめ県下のすべての議会から政府へ「非核三原則の法制化を求める決議」を挙げてもらうよう要請行動に取り組むこと決めました。具体的には、5月から開始されます。

 



◇全国弁連・支援団体合同会議◇

 「基本法」成立後の取組みを協議 
 =1月24日 東京・芝福祉会館で=

昨l月24日東京・芝福祉会億で、1月24日午後1時から東京・芝公園福祉会館で、原爆症認定集団訴訟の全国弁連・支援団体合同会議が開かれ、長崎からは長崎被災協理事田中重光さんと事務局次長柿田富美枝さんが参加しました。
この会話は、「基金法」の成立を受けて今後どうとりくむかということと厚生労働大臣との第1回の「協議」の結果をふまえ、今後の課題を明らかにすることにありました。会議では、まず各地の裁判所での状況を確認し、「基金法」についてはその内容と今後の対応について安原弁護士が提起しました。
このあと大臣との「協議」について、大臣が法改正に固執したことに関連し、改正しなくても「放射線起因性」の枠を取り払うことは可能との弁護士からの指摘もありました。また、これからの国家補償の被爆者援 護法をめざすとりくみでは、被団協での検討の様子が報告され、空襲被害者との連携を重視すべきだという積極的な発音が続きました。


 届け世界の隅々へ!!被爆地からの核兵器廃絶の声 
=地球市民集会に3,800人=

国の内外から集まった人たちが市民とともに核兵器廃絶と平和を語り合い、新たな一歩を踏み出そうと、県・市と市民が力を合わせて企画された「第4回核兵器廃絶地球市民集会ナガサキ」は、2月6・7・8日の3日間、長崎平和会館、長崎原爆資料館を会場に、前回を越える延べ3,800を超える参加者を集めて開催されました。
これまでこの集会は11月に開かれましが、ことしはNPT再検討会議へ成果を生かそうと2月開催となったのです。
開会集会では、長崎被災協の谷口会長が、大写しされた被爆直後の痛々しい火傷の姿 の映像の前で、怒りを込めて核兵器廃絶への決意を述べました。
また、被爆者でこの集会の実行委員長をつとめる土山秀夫氏は基調報告で、アメリカの核の傘に依存してきた日本政府へ冷戦思考からの脱却を呼びかけるとともに、NPT体制の強化だけでなく、核兵器禁止条約の締結を、と訴えました。
2日目は、「核の傘を考える」「核兵器禁止条約へ」「核兵器廃絶運動の継承と創造」の3つの分科会が開かれ、最終日には午前中に全体で「NPT再検討会議に望む」のテーマでシンポジウムがあり、日本被団協の田中熙巳事務局長がパネリストとして発言しました。

こうして7カ国9名の海外代表をふくむ「地球市民集会ナガサキ」は、最後に、核兵器保有国ならびに核兵器保有国となろうとしている国々の指導者に向かって「私たちはあなた方が真に核兵器のない世界の実現に向けて、ただちに第一歩を踏み出されるよう、ここ被爆地ナガサキから地球市民の名において強く求める」という「長崎アピール」を採択して終わりました。

 


◇原爆症認定審◇
 国に敗訴の反省なし 
=4月からの却下1200名超  相変わらずの違法な却下通知書=

厚生労働省の不当な仕打ちに耐え切れなかつた被爆者が、原爆症認定を求めて司法の場で争ってきた集団訴訟は、収束へ向かって動き始めました。
ところが、原爆症認定のあり方についてみると、確かに審査の方針について一定の緩和措置がとられたものの、厚生労働大臣の被爆者に対する姿勢には………。

昨年4月からことし1月までに原爆症認定申請を却下された被爆者は、1,200人越えます。
これに事実上「却下予備軍」ともいえる保留とされた被爆者数を加えると2,000名を越します (別表参照)。 しかもこの数は、昨年9月以降増加の傾向にあるのです

違法な却下通知書
申請に対して、却下されることはあり得ることです。だけどその場合、訳もなく切り捨てることは許されません。日本には行政手続法という法律があり、その第8条1項では、「行政庁は申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない」と定めています。ところが厚労大臣の却下通知書には、却下理由がないのです。

理由欄はあるものの…
厚生労働大臣の却下通知書本文には、「下記の理由により認定することができませんの通知いたします」と書いてあり「記」と記された箇所はあるのですが、そこに書かれていることは
①法律に示された原爆 症認定の要件と、
②疾病障害 認定審査会で審査し、原爆症と認められないと判断したこと、
③それを受けて厚生労働大臣は却下した、という却下にいた
る経過が書いてあるだけなのです。
これでは、なぜ却下されたのか、全くわかりません。

厚労大臣に反省の色なし
こんな違法・不当な処分をしておいて、「異議申立て」すると「棄却」で切り捨てる。こう した厚生労働省の対応にがまんできなくなって始まったのが、あの(集団訴訟)でした。あの裁判で21連敗したという事実を、厚生労働大臣はどう考えているのでしょうか。

原爆症認定審査結果

審査結果 該当者数 構成比
認 定 1,991 49.4%
却 下 1,210  30.0%
保 留  817 20.3%
合 計 4,027 100.0%


(2009.4~2010.1)



図書紹介
  西岡由香 八月九日のサンタクロース -長崎原爆と被爆者-

一昨年の3月、本格的な原爆を主題にした漫画『夏の残像』を発表した西岡由香さんが、今月、ここに紹介する『八月九日のサンタクロース』を刊行しました。
前の作品では都立高校に通うカナちやんが夏休みに長崎のお婆ちゃんの所へきての体験が綴られるのでしたが、今回もお父さんの転勤で長崎へ引っ越してきたまゆチャン(坂井まゆ)が長
崎で体験する話で構成されています。
西岡さん自身、1965年生まれですから、原爆は体験していません。その西岡さんに、こうした本が書けるのに驚きました。
被爆体験の継承なんてできるのか、という言葉もよく耳にします。西岡さんはこう書いています。「『継承』とはきっと、人と人とが同じ思いで結ばれるときになされるものなのでしょう」(242貢)。『継承』とは単なる(知識)の引継ぎではないのですね。
ところでこの本を手にしたら、まず第一章に目を通して下さい。マンガではなく、文章なのです。原爆のこと被爆者のことが、実によくまとめられているからです。ただ17ページの数字は憶える必要がありません。(山田拓民)


長崎被災協2月の動き

3日 弁護団会諌(山田、柿田)
4日 長崎原水協学集会(山田)
6日 核兵器廃絶地球市民集会ナガサキ18日まで
9日 諫早被災協が小浜で役員研修会(山田)
10日 日本被団協「法」改正検討委員会(山田)
13日 集団訴訟を支援する会が長崎駅前高架広場で街頭宣伝
14日 被団協九州ブロック代表者会議(谷口、山田、柿田)→15日まで
18日 平和推進協会事業委員会(谷口)
証言の会運営委員会(山田)
21日 知事選挙
22日 集団訴訟原告への説明会
24日 第6回(拡大)理事会
25日 医療と福祉を考える懇談会
(柿田)
27日 県九条の会呼びかけ人会議
(山田)