2013年8月9日発行の新聞『被団協』358号の内容をご紹介します。
=廃炉こそ安全を守る途=
九州の被爆者団体が九電に申し入れ
8月20日午後2時から、日本被団協九州ブロックは、傘下の各県代表に地元福岡では福岡市被爆者の会代表も加わり、原子力発電所の再開を計画している福岡市の九州電力株式会社を訪問、原発を再起動するな、と申し入れ、社長宛の「申し入れ書」を渡しました。
この申し入れは、九州電力が7月8日に川内原発1・2号機の、また同12日には玄海原発3・4号機の再稼働を目指す安全審査を申請したことに対するものでした。
川内原発についてはかねてから安全対策上の懸念が表明されており、また玄海原発はプルサーマルという国際的にも危険視されている発電であるということもあって、いずれも再稼働に対する危険性は極めて高いのです。
今回の行動に参加した日本被団協九州プロックの代表者は、口々にこのことを指摘しましたが、九州電力の回答は、曖昧なままでした。
長崎からは山田事務局長がこの抗議行動に参加しました。
却下処分は容認できない!
=異議申し立てで指摘=
9月4日と5日の両日、原爆症認定審査に関わる「異議申立て」についての口頭陳述が長崎市役所の別館でおこなわれ、8名の被爆者がそれぞれに「厚生労働大臣の却下処分分は容認できない」と意見を述べました。この意見の中で多かったのは、「原爆症認定審査会は、《新しい審査の方針》の中で『被爆地点が爆心地より約3・5キロ以内で、示された7つの疾病のどれかに該当する者は積極的に認定する』としているのに、枠内の距離で被爆し、7疾病の一つに罹患している私を却下したのはなぜか」というものでした。
実は厚生労働大臣が、公表した審査基準以外に、病気の頭に「放射線起因性が認められる」がついている四種類の病気(白内障、心筋梗塞、甲状腺機能低下症、肝炎・肝硬変)については、全く秘密裏に不当な独自の基準を設けて審査をしているため、こんな疑問が生じるのです、と代理人を務めた山田事務局長は言っています。
9月28日に「山口仙二さんを偲ぶ会」
午前11時から長崎市茂皇町「リアン」で開催
長崎被災協結成時の12名の呼びかけ人の一人として「呼びかけチラシ」に名を連ねて被災協結成に尽力され、昭和58年(1983年)から平成7年(1995年)までの12年間を会長として、その後は顧問として、長崎被災協の運動をリードしてこられた山口仙二さん、同時に日本被団協の代表理事の一人として日本の被爆者運動をリードし、世界に核兵器廃絶を訴えつづけられた山口仙二さんのこれまでを振り返り、ご活躍の数々を偲ぶとともに、これからの被爆者運動あり方を語り合うつどい「山口仙二さんを偲ぶ会」が開かれます(主催・長崎被災協)。
日時・9月28日午前11時~午後3時
会場・長崎市茂里町リアン(法倫会館別館)
会費・4000円
ご参加ご希望の方は、9月15日までに長崎被災協事務局までお問い合わせ下さい。
長崎市原対が全面的に依存する
『基本憩・意見』とは… 山 田 拓 民
先月号の1面トップには、長崎市の原爆被爆対策部が今年も長崎市の原爆被爆者対策の基本理念として、政府の私的諮問機関・原爆被爆者対策基本問題懇談会の『意見』(1980年)をそっくり掲載していることを批判する記事を掲載しました。
そうしたら、「基本懇・意見ってなんやったかねえ」「なしてそいはいかんとね」という質問が寄せられました。何しろ今から30年以上も昔の話なので、改めてここで、お答えしておきます。
基本憩(原爆被爆者対策基本問題懇談会)が設置された背景
1978年3月、最高裁判所が注目すべき判決を下しました。
それは、韓国人被爆者孫振斗さんが起こした裁判の判決の中で最高裁は、「原爆医療は戦争を起こした国の責任で被爆者を救済するという面を持っており、実質的に国家補償的配慮が制度の根底にある」といったのです。
日本政府は、そう考えていませんでした(今もそう考えていません)だから、1957年から始まった被爆者対策にしても、原爆の熱線や爆風による被害には目をつぶり、むごたらしく殺された死没者への対策(例えば弔慰金)は放置されてきたのです。
こんな政府だったので、この最高裁判所の判決に驚きました。そして、最高裁判所の判決をねじ曲げて、国の償いとしての被爆者対策にならないためにはどうしたらよいか、と考えました。
最高裁に匹敵する陣容で構成された「基本懇」
最高裁の判決に対抗するためには、大臣の談話位では役に立ちません。そこで、2人の東大総長経験者に元最高裁裁判官など総勢7名のメンバーで編成されたのが、「被爆者対策基本問題懇談会(基本懇)」だったのです。そしてこの「基本懇」が、1年半かかって作り上げ、厚生大臣へ提出したのが『基本懇意見』なのです。この『意見』は1980年12月11日に発表されました。
その『意見』の内容は…
『意見』は冒頭で、あの戦争によって国民は犠牲をこうむったと述べ、その中で、広島・長崎の犠牲が「極めて特殊性の強いもの」としながら、すぐそのあとでは「およそ戦争という国の存亡をかけての非常事態のもとにおいては、国民がその生命、身体、財産について、その戦争によって何らかの犠牲を余儀なくされたとしても、それは、国を挙げての戦争による『一般の犠牲』として、全ての国民が等しく受忍しなければならないところであって、(中略)国の不法行為責任など法律上の責任を追及し、その法律的救済を求める途は開かれていないというほかはない」といったものです。
そして、そういう中での一定の被爆者対策を政府の(温情)にしてしまうのです。つまり被爆者は、政府の温情に感謝すべきであって、間違っても『要求』なんかするものではない、と言わんばかりなのです。
日本被団協は、直ちに抗議文を発表
この「基本蓉・意見」が発表されるや、日本被団協は、当然厳しい態度で『抗議文』を発表し、いろんな平和団体、文化団体なども抗議の声明などを発表しました。そのため、厚生省(今の厚生労働省)も、「基本懇・意見」を真正面に掲げることはしなくなっていたのです。
× × × × ×
「基本懇」に寄り添うことは、核戦争被害もまた受忍すべきだという「核戦争肯定論」に加担することになり、長崎市長が今年も「平和宣言」で高らかに世界に向かって訴えた「核兵器廃絶」の願いにも背くものだということを、私は強調したいと思います。
※以上のことについて、ご意見、ご感想などを、被災協事務局までお寄せください。
これが自民党の日本憲法「改正」案 (その7)
日本国憲法 | 自民党憲法改正案 |
第6章~第7章 財政…省略
第8章 第92条 第93条
第94条 |
第6章~第7章 財政…省略
第8章 第92条 第92条の2
第93条
第94条 第94条の2
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長崎被災協8月のうごき
1日 | 二世の会役員会 (柿田) |
5日 | 原爆訴訟弁護団会議 (山田、田中、柿田) |
6日 | 新聞『被団協』発送 |
7日 | 日本原水協代表来訪 世界大会開会総会 (谷口) 立命館大・長崎での集会始まる (山田) |
8日 | 立命館大・集会 (山田) 原水禁集会・連合 (坂本) 世界大会青年の広場 (柿田) 日本被団協集会 (谷口・柿田) |
9日 | 葛飾被爆者の会・集会 東京都被爆者の会集会 (山田) 平和祈念式典 (谷口) 政府代表への要請 (谷口・坂本・山田) 世界大会懇親会 (谷口・柿田) |
20日 | 九電(福岡)へ要請 (山田) |
21日 | 原爆症認定訴訟提訴 (山田、柿田) 原爆資料館継承部会 (谷口) |
22日 | 被爆体験を語り継ぐ会 (谷口・山田)> |
27日 | 山口仙二さんを偲ぶ会実行委員会 (谷口・柿田) |
31日 | 核兵器廃絶地球市民集会ナガサキ実行委員会 (谷口) |