2017年9月9日発行の新聞『被団協』407号の内容をご紹介します。

谷口稜曄 被災協会長 8月30日逝去

1945年8月9日11時2分、谷口会長は当時16歳で郵便配達の勤務中に1.8キロの住吉町で被爆し、背中に大やけどを負い、生死をさまよいました。1年9か月うつ伏せで寝たきりでした。被爆から10年後、「原爆青年会」を仲間たちと結成し、2006年からは被災協の会長、2010年からは日本被団協の代表委員、2016年から「ヒバクシャ国際署名をすすめる長崎県民の会」の共同代表も務め、核兵器廃絶運動をけん引してきました。
自らの被爆体験を語り、核兵器廃絶への切実な願いを訴えてきました。海外への代表派遣は25回、国内でも要請があれば出かけていましたが、今年3月から体調を崩し、8月30日の朝、病院で亡くなりました。
9月1日行われた葬儀には250名が参列し、最後の別れを惜しみました。弔辞は被災協の田中重光副会長、日本被団協の田中煕巳代表委員、田上富久・長崎市長、そしてカナダの被爆者サーロー節子さんら海外の方々からのメッセージを高草木博氏、マレーシアのマハティール元首相のメッセージを加藤暁子氏が読み上げました。それぞれに谷口会長の核兵器廃絶への遺志を受け継ごうというものでした。
出棺前には「原爆を許すまじ」を参列者が合唱して谷口会長を送りました。


被爆72年目の夏の取り組み
長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典

 

8月7日の式典リハーサルは台風の影響で急きょ8日に変更になり、天候が心配されましたが、9日は無事、開催されました。
森田宏理事は仕事でリハーサルに参加できませんでしたが、当日の原爆死没者名簿奉安では大越富子・被爆二世の会・長崎理事とともに、一緒に歩く田上市長が動きごとに「はい」と号令をかけてくれ、スムーズに行うことができたそうです。被災協から川原さん、嶺川さんが流れ献花に参加し、県内の遺族代表として島原市から白倉さん(被爆二世)が参列し、大変
貴重な体験になりましたと話していました。


諫早被団協 再結成

8月30日、諫早市長田町のみのり会館で「諫早市原爆被災者協議会(諫早被災協)」が結成総会を開きました。
昨年5月、役員の高齢化のため惜しまれながら会が閉じられましたが、多くの被爆者が暮らす地域であり、被爆者同士の交流、被爆体験を伝えていくことは重要であると、清水多喜男さんを会長に選出し、理事12名、会規約を決め、被爆二、三世を会員に加え、新体制で再出発となりました。被爆者の思いを「長崎被災協・被爆二世の会・諫早」の森多久男会長ら、二、三世が引き継ぎ、被爆者を支えて運営にあたります。


連合「平和ナガサキ集会」(県立体育館)

毎月26日の「ヒバクシャ国際署名」に活動参加しておりますが、戦争を知らない若い人たちの中には無関心な人もいて、嘆いておりました。
しかし、今回の平和集会で、核兵器を廃絶し、恒久平和の世界をめざす全国の若い力を感じ、たいへん感激しました。
私たち被爆者も被爆の実相を継承し、再び戦争をしない国として世界に誇る憲法9条の大切さを一人一人に自覚させる努力をしなければならないと思いました。

唯一の被爆国日本が先ず条約に参加して核保有国を先導してほしい!今後市民の「署名の力」で大きなうねりとして日本政府の条約参加を促しましょう!(理事・道下孝人)


松谷さん、久し振りの登場
原水爆禁止世界大会(市民会館体育館)

最近、松谷英子さんは外出には介助と車椅子が必要になり、証言活動に出かけることがだんだん減っていました。ぜひとも来てほしいという要望に応え、8月9日、原水爆禁止世界大会で被爆者の訴えをおこないました。最後に「ノーモアヒバクシャ!」と締めくくると、会場は大きな拍手が鳴りやまず、参加者が次々に駆け寄って声をかけていました。感動と勇気を貰った夏でした。         (副会長・横山照子)


被爆者5団体の政府要請

8月9日、被爆者5団体の要望書に対する政府回答の面談がザ・ホテル長崎で行われました。政府側は安倍首相、河野外相、加藤厚労相が出席し、冒頭に被爆者5団体の川野浩一・被爆連議長が要望書手渡しの際、「あなたはどこの国の総理大臣ですか。」と強烈な言葉で核兵器禁止条約に参加しなかったことを批判しました。
安倍首相は核兵器禁止条約には一言も触れず、要請書の回答は前年と同じで進展はありませんでした。
加藤厚労相は被爆地域拡大について、科学的知見が得られていないと否定しました。
高齢化する体験者の負担をへらすため、更新手続きを簡素化したい、来年度から糖尿病に伴う合併症に対し、助成対象としたいということでしたが、原爆症の認定について従来どおりでした。
戦後72年たった今も、原爆、戦争被害が解決していません。戦争責任は政府にあることを声を大にして掲げ続けましょう。                (副会長・田中重光)


第9回平和首長会議 長崎で開催

4年に一度、広島市と長崎市で交互に開催されている総会が、8月7~10日35か国178都市、団体が参加して開かれました。
8日は会議の冒頭、評議員の松尾幸子さんが、原爆で亡くなった父や姉兄弟たちへの悲痛な思い、自身の被爆体験を語りました。
最終日の10日は「被爆者団体の役割」について横山照子副会長が発言しました。日本被団協・長崎被災協の発足から今日までの活動と果たしてきた役割を報告しました。
総会は、すべての国の政府に「核兵器禁止条約に参加すること」を求める「ナガサキアピール」を採択し、閉会しました。
(副会長・横山照子)


ナガサキ不戦のつどい

8月15日、「核廃絶人類不戦の碑」の前でナガサキ不戦のつどいが雨の中、開催されました。
被災協の森内實副会長は「安倍政権は平和憲法を変えようとしている、憲法9条の改正は戦争につながるので、断固反対する。」と声を大きくして訴えました。
(理事・吉田勲)


核兵器禁止条約署名「平和の波」つどい
9月20日(水)午前11時~正午
平和記念像前
核兵器禁止条約の朗読
被爆者5団体代表挨拶
平和の歌声
ひろがれ風船飛ばそう
ぜひご参加ください!!


 

8月事務局日誌

4日 新聞発送
7日~9日さまざまな夏の集会
9日 原爆犠牲者慰霊平和祈念式典
19日 健友会評議員会
23日 被爆体験を語り継ぐ会、三役会
24日 署名事務局会議
25日 田上市長、谷口会長の見舞いへ
26日 ヒバクシャ国際署名街頭宣伝
30日 谷口会長逝去、諫早被災協再結成


9月の活動

8日(金)新聞発送
9日(土)安保法違憲訴訟・憲法講演会14時~16時
地区労会館2階大会議室 寺井一弘弁護士(無料)
10日(日)核実験に抗議する長崎市民の会座り込み
平和祈念像前 午前11時~正午
11日(月)被団協九州ブロック代表者会議
12日(火)署名事務局会議
16日(土)二世の会・長崎会議10時~被災協にて 県九条の会
17日(日)「祈りはときをこえて」朗読会13時半~
カトリック中町教会(入場券1,000円)
19日(火)~20日(水)被団協代表理事会
20日(水)核兵器禁止条約署名「平和の波」つどい
平和祈念像前 午前11時~正午
21日(木)被団協二世委員会
22日(金)中国総領事館祝賀会
25日(月)安保法違憲訴訟 事前集会14時~長崎地裁前
26日(火)街頭宣伝 浜クロス前16時~17時

30日(土)地球市民集会ナガサキ・シンポジウム

13時半~16時 原爆資料館ホール(無料)