2020年3月9日発行の新聞『被団協』437号の内容をご紹介します。

最高裁判決 不当判決

2月25日 、最高裁判決を傍聴した田中会長、溝浦理事による報告は下記のとおりです。


最高裁は原告3名に原爆症と認めない判断を
言い渡しました 。
①広島高裁が認めた白内障の原告
②名古屋高裁が認めた慢性甲状腺炎の原告
③福岡高裁が認めなかった白内障の原告
公正な判決を願い、被爆者からの手紙、団体署名を持って、原告と全国の支援者、被爆者、弁護団と、要請行動3回、口頭弁論、この日の判決に参加しました。判決の主文を聞いてわが耳を疑いました。そのあと、強い怒りと悔しさがこみ上げてきました。
今まで司法はギリギリのところで被爆者を救援するという姿勢を示してきましたが、今日の判決は「最高裁は被爆者を見捨てた」と感じました。松谷訴訟最高裁判決、その後の原爆症認定集団訴訟、ノーモアヒバクシャ訴訟において、厚労省の運用が「被爆者援護法」の趣旨に反すると厳しく断罪され、「新しい審査の方針」も何回も改訂されて追い込まれる中で「要医療性」を厳しくすることで認定を抑えてきたのです。
2月25日の判決は今なお被爆者が苦しみ続けているという訴えに耳を貸さず、厚労省の主張を鵜呑みにし、追認したものです。また唯一の戦争被爆国の最高裁判所として恥ずべき態度であり、被爆者と国民は強く抗議するものです。
厚労省は最高裁判決を盾に認定を厳しくしてくるのではと思われます。厚労大臣との協議を強め、国会の与野党に働きかけを強め、日本被団協の提言に基づく、原爆症の認定制度の抜本的見直しを求めていかなければなりません。

(会長  田中重光)

 

私は今回の最高裁判決は今後、裁判闘争をしなくても、原爆によって起きた病気は国が原爆症と認める判決を出すものと思っていました。
ところが被爆者や戦争犠牲者の援護に消極的な安倍政権に追従した不当な判決でした。今回の判決の大きなポイントは経過観察を医療行為と認めるのか、否かの判断だったと思います。被爆者だけでなく一般の患者さんもよく経験されることで、病院で経過観察しましょうと診察されて、時々診てもらいます。この行為を医療と認めない不合理な判決だと思います。
なぜこんな不当な判決が出たのか、今、安倍政権のもとで司法の改悪が進められています。その流れの中で出されたのではないでしょうか。
日本が始めた戦争で広島、長崎の原爆犠牲者や東京大空襲など内外の戦争犠牲者を生み出した政府の責任は重大です。
その償いをすることは再び、被爆者や戦争犠牲者を出さない、今を生きる私たちの責任を感じました。
飛行機や電車から見る東京の高層ビルの街々、そこで暮らす人々の命、核戦争が起こればどうなるのかと想像しました。絶対に戦争を起こさせない、核兵器をなくすため一層の努力が求められます。

(理事 溝浦 勝)

 


「被災協・二世の会・諫早」


2月13日、みのり会館にて「第31回 被爆二世の会・諫早の集い」を行いました。百日紅公園での慰霊碑建立にはシルバー人材センターの機械刈り担当者から工事のときには手伝いたいとの申し出があり、この日、参加されました。
着工は3月15日午前8時半、竣工は7月26日の予定です。慰霊碑が建立されることを知り、遺族の方から感謝の手紙と寄付金が寄せられています。ご協力をお願いします。

お問い合わせ:0957-24-1155(二世の会・諫早会長 森 多久男)


壱岐市訪問

2月21日、田中会長、柿田事務局長と壱岐市在住の米倉清氏(「被爆二世の会・長崎」会員)が壱岐市役所を訪問しました。市長、副市長は 出張中のため総務部長、総務課長と懇談し、壱岐市での協力を要請しました。「壱岐市長もこの署名に賛同されているので、まず市職員から取り組みたい。」と話されました。


「長崎の郵便配達」映画監督

2月17日、被災協第5回理事会に「長崎の郵便配達」の映画監督、川瀬美香氏が訪れ、会長、理事らと懇談しました。谷口稜曄さんの被爆体験を書いたピーター・タウンゼント氏の著書をもとに娘のイザベルさんが長崎を旅し、父のメッセージを紐解いていくという映画です。
川瀬監督は最終的な段階に入った編集作業について述べました。この映画制作への熱い思いが伝わってきました。被爆75年、長崎での上映が待たれます。


 

ノーモアヒバクシャ国際署名
〆切 は3月31日
最終〆切は9月18日です。お手元にありましたら、被災協までお送りください。


2月の活動報告

1日(土)ノーモアヒバクシャ訴訟全国会議 (柿田)

7日(金)75 周年記念誌 編集会議 (田中、小峰、萩谷、佐藤な、佐藤す、柿田)

10日(月)新聞発送(田中や、柳原、事務局)

12日(水)署名事務局会議

13日(木)~14日(金)独居被爆者訪問・壱岐市

17日(月)第5回理事会

25日(火)ノーモアヒバクシャ訴訟最高裁判決

26日(水)街頭宣伝 浜クロス 30名 200筆

3月の予定

4日(水)ノーモアヒバクシャ訴訟弁護団会議

6日(金)75周年記念誌編集会議

8日(日)国連軍縮研究所所長懇談

9日(月)新聞発送

10日(火)福岡高裁

12日(木)署名事務局会議

18日(水)被爆体験を語り継ぐ会

23日(月)被災協資料保存研究会

26日(木)街頭宣伝 浜クロス 16時

28日(土)健友会評議員会

30日(月)第6回理事会

31日(火)平和推進協会理事会