2003年8月9日発行の新聞『被団協』238号の内容をご紹介します。

『被団協』238号目次
1・『支援する会・長崎』結成集会ひらく
2・「原告のつどい」を開催
3・更新手続きを撤廃
4・長崎・広島県、市の国への要請
5・三和町が拡大区問題で政府へ意見書
6・二世アンケート
7・東長崎で支部会ひらく
8・映画紹介と本の紹介

原爆症認定集団訴訟
『支援する会・長崎』結成集会ひらく
署名運動など当面のとりくみを戻る

8月2日午後2時から『原爆症認定集団訴訟を支援する会・長崎』の結成集会がひらかれました。会場の長崎市岡町にある
長崎被災協講堂には平和団体、市民団体、労働団体などの代表や被爆者ら約100名が集まり、出席した原告・小幡税子さん、 浦川学さん、木村不二男さん、北尾孝子さんとともに、集団訴訟勝利への決意を確かめあいました。
集会は、原爆犠牲者への黙とうではじまり、長崎被災協の葉山会長は開会挨拶で、この裁判は原告だけの裁判では
ない、被爆者全体の裁判だと指摘しました。
ついで18名の弁護団を代表して中村尚達弁護団長が訴訟の意義と経過
をふくめて挨拶、裁判所に国を敗訴させるのは容易なことではないが、国民的な世論を背景に正義が私たちの個にあ ることを明らかにすれば必ず勝利できると強調しました。
同席した横山弁護士顧問、迫弁護士も、勝利をめぎす決意を披瀝しました。
このあと、「いきいきコープ」理事升本由美子さん、松谷訴訟で勝利した松谷英子さん、シャンソン歌手寺井一通さんが登場し、 それぞれに激励の挨拶を行いました。
集会は、規約に当たる 「申し合わせ」 を確認、葉山被災協会長を代表委員に選び、監事には鎌田信子さんと岡村美智子さんを選任しました。
さらに、当面、①全員の拡大、②募金運動、⑧公正判決を求める署名運動、⑥9月17日の裁判傍聴、にとりくむ ことを承認、被災協山田事務局長の認定審査の現状と問題点についての報告を受け、市民へのアピールを採択して結成集会は終了しました。

「原告のつどい」を開催 

長崎被災協では、7月15日午後2時から被災協会議室で「原爆痘認定集団訴訟原告のつどい」をひらきました。
このつどいには、小幡税子さんら原告・家族七名のほか提訴予定者、被災協相談員が参加しました。
冒頭葉山被災協会長は「被爆者全体の問題としてとりくむ」と挨拶。それぞれに被爆の体験などを語り合いました。
市や県はどうして被爆者の立場にたって国へ働きかけないのだろうという不満の声も聞かれました

健康管理手当
更新手続きを撤廃 
貧血や潰瘍などは除外

長崎被災協は日本被団協とともに「諸手当の手続きを簡素化を」「健康管理手当の更新手続きは撤廃を」と厚生労勧省に
要望してきましたが、ようやく実を結びました。
ただし、健康管理手当のすべての病気について無期限の支給となるのではないので注意して下さい。次の病気は今後も更新手続きが必妻です。
①鉄欠乏性貧血と胃潰瘍や十二指腸潰瘍などは、支給期限の上限が3年です。
②貧血(鉄欠乏性貧血や再生不良性貧血を除く)と甲状腺機能尤進症およぴ白内障は、支給期服の上限が5年です。
この①と②以外は、無期限の支給となり、前回の支給期限が5年となっていた場合は切り替えの手続きなしで生涯 支給を継続しますが、前回3年とか1年だった人は、診断書を添えて切り替えの手続きをしなければなりません。それは今後も同様です。
長崎市内と市外で異なる。
実施時期
この新しい制度がはじまるのは、長崎市内の人については8月1日からですが、長崎市外(県の管轄)の人については、準備の関係で10月1日からの実施となります。

長崎・広島県、市の国への要請
今年も国家補償にふれず

長崎・広島の県・市の首長、議長で構成する「広島・長崎原爆被爆者援護対策促進協議会」
は政府へ要望書を提出しましたが、「原爆被害への国家補償」については今年もふれませんでした.
前文で「死没者に対する弔慰事業の推進について.も強く望まれております」としているものの、 弔慰金や速族年金に はふれず、追悼祈念鎗の運営充実、関係資料の収集を求めているだけに終っています。

三和町議会が拡大区問題で政府へ意見書

西彼杵郡三和町議会は、被爆地域拡大について、指定区域外に住む「被爆体験者」を
差別するのは合理性を欠くとして、居住要件の撤廃を求める意見書を、6月30日、 小泉首相、塩川財務相、坂口厚労相あてに送付しました。

二世アンケート
被爆体験を親から聞いた88%

二世の集いに参加したい45%

 新聞『被団協』に同封して、被爆者から2世へ破してもらうよう依頼した7月26日現在145通返ってきています。そのうち88%の人が、「親から」被鯵体験を聞き、「祖父母から」「学校の平和学習で」を合わせると98%の人が聞いていました。
健康状態が良くないと答えた人は、15%でした。病気はさまざまで、入院中の人も二名いました。「2世であることに不安を感じる」と答えた人は45%でした。
その中で、40代や50代の多くは、自分や子どもの健康を心配し、20代、30代では、結婚ゃ餌産を心配しています。「2世に放射線の影響があると思う」は36%、
「わからない」は58%、「影響はないと思う」は6%でした。2世からの要望の主なものは、①「2世検診の内容充実」(69%)、②「2世の実態調査」(64%)、
③「被爆者と同じような手噸、手当の制度」(49%)となっています。
回収されたアンケートに目を通していて、親から披爆体験を聞いて育っているので、親もアンケートをすぐ子へ渡し、2世もすぐ答えるという、親子の信頼関係が浮かんできました。
東京や福岡など県外からも21名方から回答が寄せられていました.「被爆の実相を海外に伝えるべきだ」「子どもたちに伝えるべきだ」「戦争のない核兵器のない世界にしょう」
「有事法など今の日本に不安を感じる」などと平和への思いが書き記されていました。
また「被災協で2世のつどいを開く場合は参加したい」という答も45%にのぼっており、励まされました。まずは集まれる人たちで「2世のつどい」を開き、どんなことをしたいの
か、どんなことができるのか、を話し合いたいと思います。(柿田)
回答で挙げられた疾患や症状はつぎのとおり.
脳疾患3 貯機能疾患2 貧血2 甲状腺2 糖尿病2 乳ガン、子宮内膜 心臓病 高血圧 神経症 胆石 不配痘 疲れやすい 吹き出物 リウマチ 腰痛など

東長崎で支部会ひらく

長崎被災協東長崎支部は7月20日の午前10時半から喫茶アトムを会場に支部会をひらきました。これからの被災協のスケジュールと私たちの対応が話し合いの主な内容でした。
参加者は五名でしたが有意義な会でした。(吉田)

映画紹介

ヒバクシヤ

ふたたぴ被爆者をつくるなの想いをふみにじって、核実験はくりかえされ、劣化ウラン弾は使われました。こうして広がる核汚染の実態を日本、アメリカ、イラクのヒバクシャの実態をみつめ、核時代に生きることの意味を問いかけるドキュメンタリー映画。
ヒバクシヤの姿に改めて核兵器廃棄を考えさせる作品。▽8月20日(水)午後3時半からと6時半からの2回、長崎市民会館文化示-ルで。
∇主催=ナガサキ平和映画祭実行委員会▽大人~高校生1000円。

鏡の中の女たち

 記憶の彼方に隠され、封じられた街-広島。「『わたしの内なる広島』をいつの日か映画で描くことを、この半世紀のあいだ、願いつづけてきた」と諮る監督吉田喜重。
三世代の女性たちが探し求める記憶の旅を通して、吉田監督が描こうとしたヒロシマとは何か‥
2002年度カンヌ国際映画祭特別招待作品。
▽8月2日から長崎セントラル劇場で上映。▽出演=岡田茉莉子、田中好子、一色紗英ら。

本の紹介

崎陽のあらし

「崎陽のあらし」とは長崎要塞司令部に勤務していて被爆した深水経孝氏の原爆図の絵巻物。
深水氏の出身地人吉の高校め英裔教師らが英詔の勉強会で、原爆の図に添えられた文章を英訳して掲載している。原文は文語体のためまず口語訳し、討論しながら英訳する
という作業を積み重ね、4年余を経て出版したもの。口語体訳も添えてあるので若い人たちにも接しやすいだろう。絵の複製も見事に仕上がっている。
草の根出版会 2200円