2003年11月9日発行の新聞『被団協』241号の内容をご紹介します。

『被団協』241号目次
1・原爆投下爆撃機を復元、公開へ
2・原告中島さん・北尾さんが意見陳述
3・小原告団105名に
4・第異議申し立ての口頭審査ひらく
5・市民平和大行進に2.300名参加
6・被爆者フォーラムとはこんなつどい

米航空宇宙博物館
原爆投下爆撃機を復元、公開

現地でも抗議行動展開へ

ワシントンにあるスミソニアン航空宇宙博物館は、広島に原爆を投下した爆撃機エノラゲイ号を完全復元し、「技術の進歩」の象徴として展示、12月15日から一般に公開することになりました。
日本被団協は「展示するなら原爆被害も同時に」と要請
日本被団協によると、この展示に現地アメリカでも批判の声があがっており、ワシントンの平和団体も、公開の前日及び当日に集会やデモなど抗議行動を展開することが検討されているということです。
日本被団協でもこの問題を重視し、ワシントンでの抗議行動への参加を呼びかけるとともに、博物館長と大統領あての署名運動に取り組むよう毛九件へ連絡しました。
長崎でも署名運動始まる。
この連絡を受けて、長崎被災協でも「アメリカが今しなければならないのは、広島・長崎への原爆投下を謝罪し、二度とこんなことはしない誓い、核兵器をなくすこと」という立場から、ブッシュ大統領とジョン・ディーリー博物館長あてに「エノラゲイの一般公開に際しては、同機により投下された原子爆弾の被害を示す写真や資料をあわせて展示すること。もしそれが出来ないのであれば、エノラゲイも一般公開は中止すること」という内容の要請署名運動に取り組むこととなり、10月20日、各支部・会へ署名用紙を送りました。
締め切りは11月15日。この署名はワシントンでの抗議活動に参加する日本被団協の代表団が持参し、スミソニアン博物館長へ届けられることになっています。なお署名用紙は新聞『被団協』11月号にも折込まれます。長崎被災協事務局では、必要な署名用紙の申込には対応できるよう準備しています。

ぜひ、広島・長崎へ!

来日のブッシュ大統領へ要請

日本被団協ではイラク戦争の後始末への日本の支援・協力を求めて日本へ立ち寄ったブッシュ大統領への要請行動を各都道府県被団協へ連絡しました。
この連絡を受けて、長崎被災協でも、
①広島・長崎を訪れ、原爆がもたらした被害の実相を直視せよ、
②原爆によって想像を絶する被害を受けた被爆者に謝罪せよ、
③謝罪の証として核兵器のない21世紀実現のために先頭に立て、
という文章をブッシュ大統領あてに送りました。

原爆症認定集団訴訟
原告中島さん・北尾さんが意見陳述
第3回口頭弁論

長崎での原爆症認定集団訴訟の第三回口頭弁論は、10月21日午後1時10分から長崎地裁でひらかれました。
約40名の傍聴者が参加した法廷では、まず、9月14日に第三陣として提訴した近藤勲さんら5名を、それまでの18名の分と併合すること(一緒に審理すること)を確認したうえで、第二陣として提訴した中島智津子さんと北尾孝子さんの二人が、それぞれに被爆の状況とその後の健康状態などを明らかにしながら、厚生労働省の不誠実な対応への憤りを込め、原告としての意見を陳述しました。なお、この日までに原告・厚生労働省側は提訴に対する反論をまとめて提出することになっていましたが、提出しませんでした。次回は、11月25日午後1時10分開廷の予定。

拡大する原爆症認定訴訟
原告団105名に

長崎地裁での第三回口頭弁論の翌日(十月二十二日)、熊本で三名が原爆症認定集団訴訟に加わり、全国の提訴者は一〇五名となりました。
ことし四月十七日に北海道(三名)、愛知(一名)、長崎(三名)の計七名が第一陣として訴状を提訴して半年余、十月末現在では、北海道、茨城、東京、千葉、愛知、大阪、兵庫、広島、島根、長崎、熊本の十一都道府県、一〇五名へと広がり、全国八地裁で裁判が進行しています。
日本被団協では、各地裁で弁論がはじまったのを受け、論点の整理と裁判支援支援運動の交流のため、十一月15日に東京で弁護団と各地の支援組織の代表の合同での検討会を開くことになりました。

九州ブロック相談事業講習会

出発は16日(日)午前9時
午前8時45分までには「被爆者の店」前に集合してください。

集団申請ではじめて

異論申し立ての口頭審査ひらく

異論申し立ての口頭審査ひらく
原爆症認定集団申請運動の中でははじめての異議申し立てについての口頭審査が、十月十六日午前十一時から長崎市議会会議室でひらかれました。
審査を請求したのは国本麻沙代さん。厚生労働省からは田中豊援護企画係長と前田隆弘業務指導係の二名で、山田事務局長と横山相談員も代理人として出席しました。認定審査を行う委員は、誰も出席しませんでした。国本さん側は、認定審査のあり方の不当性を指摘、厚生労働省に改善を求めました。

被爆58周年原爆犠牲者慰霊・世界平和祈念
市民平和大行進に2.300名参加

長崎被災協も40名

市民大行進への出発を前に

緑の幟のもとに集まった長崎被災協
10月25日(土)午前十時、秋晴れのもと長崎市松山町の平和公園には、市民大行進に参加する各町自治会や市民団体、平和団体、婦人団体などの文字通り老若男女2300人が集まりました。長崎被災協からも40名があざやかな緑の幟を持って参加しました。
この行進は、10月24日からの30日までの「国連軍縮週間」中の行事としてとりくまれているもので、出発集会では伊藤長崎市長が挨拶。長崎被災協は、ことしは、天主堂前から平和町商店街を通る1.5キロのコースを、」緑の幟を先頭に歩きました。
終点は、爆心地公園。中心碑まえで終結集会をひらき、原爆が投下された午前11時2分に原爆犠牲者の冥福を祈って黙とう、そのあと、氷見中学校の直田梓さんと山口由香さんが「世界中のすべての人が平和で、幸せに暮らしていけるように、一人ひとりが平和について考え、行動を起こしていくことを宣言します」と「市民大行進宣言」を読み上げました。この行進には、広島の秋葉市長からもメッセージが寄せられました。

11月23日午後2時からの?
被爆者フォーラムとはこんなつどい

追悼祈念館で開催

核戦争をおこすな、核兵器をなくせ」の願いを全世界へ発信する集会「第2階地球市民集会ナガサキ」は22日から24日までひらかれます。

ここでは、23日午後2時から、新しく出来た追悼祈念館でひらかれる「被爆者フォーラム」をご紹介します。
分科会「被爆者フォーラム」は、アメリカの「使える核兵器」構想や北朝鮮の「核兵器開発」など、核兵器をめぐってこれまでにない危険な状況が生まれている中で、そして日本政府もまた「核の傘」に依存し、「戦争被害受忍論」に固執しているとき、改めて広島・長崎での原爆被害に焦点をあて、原爆投下が人間として許せない犯罪行為であることを明らかにするとともに日本政府のあるべき姿を追求することが、今日の状況を切り開く上での鍵ではないか、ということから、報告者と参加者がいっしょになって考えようという分科会です。フォーラムとはもともと公共の広場という意味で、集まって話し合う場所のことなのです。気楽に参加し真剣な討論が展開されるよう主催者は願っています。
はじめに三人の方が原爆の被害について発言します。
広島の被爆者山岡秀則さん、韓国人被爆者郭貴勲さん、長崎の被爆者内田保信さんです。
そして名古屋大学名誉教授の沢田昭二先生が体内に入った放射性物質の恐ろしさについて解説されます。
つぎに日本被団協代表委員で広島被団協事務局長の坪井直さんが原爆投下の犯罪性について、長崎被災協の山田事務局長が原爆の被害への日本政府の対応について、話します。そのあと、こうしたことを中心に、参加者が一緒になって意見を交換しようという企画なのです。参加費は無料。どなたでも参加し、発言できます。

原爆症認定裁判
「署名」と「募金」を急ごう

原爆症認定集団訴訟も来月は四回目の法廷がひらかれます。ところが支援運動の要というべき裁判所への要請署名と支援募金運動が立ち遅れています。署名用紙は、各会・支部を通じて配布されています。十一月二十五日の第四回口頭弁論の期日を第1次の目標に、被災協は全力を挙げているところです。