◇暫定予算・当面のとりくみを決める◇
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厚生労働大臣が3月12日の東京高裁判決ならびに同18日の広島地裁判決について上告、控訴したことに対し、心からの憤りをもってここに抗議するとともに、直ちにその撤回を求めます。 改めて指摘するまでもなく、広島地裁の判決によって、厚生労働大臣は実にこの原爆症認定集団訴訟において15連敗を喫したのです。これだけ敗訴を重ねた場合、通常の判断力を持ち合わせているのなら、自らを省みてその誤りを正そうと心がけるのが、行政官として、また行政組織として、当然のことではないでしょうか。それをせずに、あえて上告、控訴の道を選んだのは、単なる「時間稼ぎ」としか思えません。 原爆症認定制度が、このように原爆被害の実態からかけ離れ、被爆者の願いを踏みにじるものとなってしまったのは、まさに3月18日の広島地裁判決が指摘するように、被爆者医療分科会委員らのいいなりになり、漠然とと被爆者行政をおしすすめてきたからに他なりません。いま、厚生労働大臣と厚生労働省がなすべきことは、上告、挫折によって「時間稼ぎ」をすることではなく、改めてあの原爆被害とは何だったのかを見つめ直し、原爆被害の実態に沿った正しい被爆者行政へと転換することです。正しい被爆者行政とは、政府の行為によって生じた戦争の惨禍による被爆者の苦しみにきちんと対応することです。 私たちは厚生労働大臣に、すべての控訴、上告を取り下げ、地裁段階での訴訟にも終止符を打ち、「新しい審査の方針」を直ちに、そして全面的に改定することを要求します。被爆者の中に被爆距離などで特別の被爆者を 2009年3月27日 長崎席撫被災者協議会第54回評議月余・08年度第7回理事会 |
=厚生労働大臣が16連敗=
原爆症訴訟で勝訴つづく
広島では賠償も認める
3月にはいってからは、12 日には東京高裁で、同18日に は広島地裁で、さらに同27日には高知地裁で、原爆症認定 集団訴訟の判決が相次ぎ、厚生労働省はいずれも敗訴し、これで国側は原爆症認定集団訴訟で16連敗を喫したことになります。
それぞれの判決の特徴は下の記事で詳しく述べますが、東京高裁では、肝硬変、脳梗塞を原爆症と認め、広島地裁では5人の原告全員を原爆症と認めたうえで、そのうちの3人については却下したことに違法性があるとして、この種の裁判では初めて原告が請求していた国に対する損害賠償も認めたのでした。
さらに高知地裁では、虚血性心疾患に対する厚生労働省の却下処分を取り消しています。
なお、厚生労働大臣は、3 月25日、東京高裁、広島地裁の判決を不服として、上告、控訴しました。
長崎被災協は抗議文を送付しました。
~原爆症認定集団訴訟~
恒東京高裁、広島・高知地裁で判決
C型肝炎、ケロイドも認定
上部の記事でもお知らせしましたように、原爆症認定を求める裁判で、3月には東京高裁、広島地裁、高知地裁と3裁判所で判決があり、いずれも訴えた被爆者が勝訴しました。
認定を拒んできた厚生労働省は、すべてで敗訴し、これで厚生労働省は16連敗と、連敗記録を更新しました。
◇東京高裁判決◇
この判決は千葉地裁の判決 を受けての裁判の判決で、まず厚生労働省が頼みにしているDS86やDS02という「ものさし」では被爆者が受けた放射線の量を測るには不十分だとし、
ガンについて厚生労働省がたとえば3.5キロ以内で被爆というように一定の条件下は放射線の影響をみていることは、ガン以外の病気にも当てはまるとしています。
そしてそうした観点から、4.1キロで被曝した方のC型肝硬変や1.7キロで被爆した方の心筋梗塞、脳梗塞も原爆症と認めたのでした。
◇広島地裁判決◇
広島地裁でも、被爆者が受 けた放射線の量を推定するの に使われているDS86やDS02は初期放射線に限定されているし、さらに不確定な細分もある、としてこれだけに頼って認定することは誤りと指摘しています。広島地裁は、こうした立場から一人ひとりの被爆者の病気について判断し、慢性肝炎、慢性C型肝炎、ケロイド、白内障を原爆症と認め、厚生労働大臣の却下処分を取り消したのでした。
さらに広島地裁は、厚生労働大臣には、審査会(疾病傷害認定審査会被爆者医療分科会、及びその部会)の判断に誤りや不十分さがあるときはそれを正す責任があるのであって、漫然と審査会の言いなりになってはいけないとの判断を示し、3名の原告に対する国家賠償法に基づく賠償責任を認めたのでした。これは、これまでの判決に見られない画期的なものでした。
◇高知地裁判決◇
高知地裁は、被曝直後に広 島市内に入り、虚血性心疾患にかかった男性の病気を、原爆症と認め、厚生労働大臣の却下処分を取り消したのでした。
裁判長は判決理由の中で、「審査基準を機械的に適用することは放射線による被曝の実態を正当に評価するものとはいえない」と指摘しましたが、却下処分に対する国家賠償は認めませんでした。
この男性は平成16年に亡くなられており、ご遺族が裁判を引き継いでおられました。
後期高齢者医療制度の撤 廃求め県民集会ひらく
3月29日の午後、長崎市魚の町の長崎市民会館前での 「後期高齢者医療制度廃止を 求める県民集会」には県下か ら580名の人たちが結集、政党代表、国会議員、地元労働団体代表の挨拶のあと、中央橋までパレードが行なわれました。長崎被災協も緑の旗をなびかせ、参加しました。
◇読書案内◇
「アマテラスの誕生」
溝口 睦子著(岩波新書)
被爆者ならほとんどの人はアマテラスオオミカミつて知ってますよね。そう、私たちが意味もわからないままに覚えたあの教育勅語の冒頭にもあった言葉「我力皇祖皇宗子国ヲ肇ムルコト宏遠二徳ヲ樹ルコト深厚ナリ」の皇祖である神、つまり太陽の神であり、天皇の先祖でもある神こそがアマテラスオオミカミ(天照皇大神)ですよね。
戦前の日本では、天皇の祖先である この神が、日本の(国家神)だったのです。
だからキリスト教徒であろ うとユダヤ教徒であろうと、 日本人ならこの神の前にひれ伏さなければならなかつた…。ところがなんと、紀元七世紀以前には、最高の神、天皇の先祖の神はタカミムスヒというから驚きではありませんか。紀元七世紀といえば奈良時代の始まりです。その頃までは、タカムスヒという神が(天孫) に日本の統治を命じて天降らせたのであって、アマテラスは後からその地位に就いたのだとうのです。しかもそれは、この著者が新説を唱えているではなく、研究者の間では冒通の認識だというから、なお驚きです。本を読むのは楽しいことですね。(山田拓民)
長崎被災協3月の動き
6日・長崎の証言の会運営委員会 (山田)
〃 ・原告についての医師団意見書検討会議 (山田)
8日・長崎原爆青年乙女の会年次総会
10日・東長崎支部会議
12日・原爆症認定集団訴訟東京高裁判決 (千葉地裁控訴審)
13日・ソマリア沖への海上自衛艦派遣で抗議文送付 (市民有志)
14日・全国統一行動として長崎市鉄橋で原爆症問題の早期解決を目指す街頭宣伝
16日・福岡高裁で口頭弁論 (第1次控訴審)
18日・原告団・弁護団・支援する会全国集会 (森内・柿田)
19日・語りつぐ会
〝 ・後期高齢者医療制度廃止県民集会実行委員会 (山田)
23日・県・市の被爆者対策担当者と被爆者団体などとの合同会議 (谷口・山田・柿田
24日・平和推進協会理事会 (谷口)
〝 ・いきいきコープ理事会 (柿田)
25日・被曝体験者協議会総会 (山田)