2010年5月9日発行の新聞『被団協』319号の内容をご紹介します。

 ◇被災協第57固定例評議員会◇
5項目の「重点課題」を設定 
=新しい事態には理事会で決定、対処=

 第57回定例評議員会と、本年度第2回理事会は、5月28日午後2時から長崎被災協・講堂で開催され、昨年度の活動を振り返るとともに、決算を承認、今年度の活動方針と予算を確定しました。
昨年度の活動については、昨年度の9つの重点課題に沿って山田事務局長がその概要を報告した上で、
①原爆症認定集団訴訟運動について、
②真の被爆者援護法制定を目指す運動について、
③被爆者5団体の結束が強まったことについて、
それぞれの成果を報告、さらに、会員の高齢化に伴う難しさはあるものの、被爆者の果たすべき使命は大きいと指摘しました。
昨年度の被爆体験講話を聴いた児童・生徒数は、インフルエンザの影響で若干減少しましたが、それでも2万4千人でした。また今年度は、別掲の5項目を重点課題として取り組むこと、そのほか、年間に現れる新しい事態に対しては、この基本方針に沿いながら、理事会で検討して決定、対処することを確認しました。

◇ことしの私たちの基本的なとりくみ◇

① 憲法を守り、核兵器廃絶、療爆被害への国家補償の実現をめざします。
② あるべき国家補償の被爆者援護法を追求するとともに、現在の「援護に関する法律」のもとでの不当な被爆者行政に対しては、抜本的改善を求めます。
③ 被爆の体験を、次の世代、さらにその次の世代へと伝えるために努力します。
④ 世界の動き、国内、県内の動きに注目し、いろんな形で学びあう機会をつくります。

⑤ お互いに高齢化する中で、これからの長崎被災協のあり方を追求します。新しい法人への移行についても、具体的な検討をすすめます。

2007年度からの被爆体験講話実施状況

年 度 小学校 中学校 高 校 一般 合計
2009年度 267校
18,914名
27校
2,167名
13校
2,274名
11団体
613名
313団体
23,969名
2008年度 307校

19,543名

30校
1,846名
10校
3,892名
8団体
350名
355団体
25,631名
2007年度 318校
19653名
74校
2,374名
10校
1,549名
20団体
520名
422団体
24,096名




◇ 不当な原爆症認定審査 ◇

 厚労大臣へ抗議文送付を決議 


 これまでお知らせしてきましたように、この一年間の原爆症認定審査は、却下される人の割合が申請者の90%を超えるなど、認定するための審査から切り捨てるための審査へと変わってきていること、一人の申請を審査する時間も多くて5分半(4月)、短いものでは1分をきる(2月・3月)状況となってきていること、また却下通知書に示すべき却下理由を欠落させていること、を重視した長崎被災協第57回定例評議員会は、全会一致で厚生労働大臣へ抗議文を送ることを決定、同日、長妻厚生労働大臣と原爆症認定審査の責任者被爆者医療分科会の谷口会長あてに送付し改善を要求しました。

また、同抗議文では、5月24日に決定された6千にものぼる審査待ちの解決策についても、真の解決につながらないことを指摘、審査のあり方の全面的な是正、改善を求めました。
さらに、県知事、長崎市長へもこの抗議文を送り、こうした不当な状況を改善させるための尽力を要請しました。


厚生労働省が「待機」者解消策(?) 
 =250人を6時間で選別か=

厚生労働省で原爆症の認定審査を行う疾病障害認定審査会・被爆者医療分科会は、5月24日に会合を開き、現在、審査を待っている申請者が約6千人であることを確認して、l年でこれを解消する方針を決定しました。その内容は、これまでは「積極的諷定」の枠外についての審査は、審査会委員(臨時委員を含む)31名全員で当たっていましたが、これからはこれを2班に分けて対応することにし、毎月500人を審査するとしています。
500人を2班に分けて6時間で審査するわけですから、一つの班での担当は250人で、昨年度の11月・12月・1月の実績をそのまま当てはめると1件当たりの審査時間は1分半程度、却下率は90%、つまり6千人の待機者は解消するとしても、そのうちの5,400人以上が却下となる恐れがある、と山田事務局長は指摘しています。


 ご苦労様!! 訪米代表・谷口さん、池田さん、小峰さん。 

ニューヨークの目抜き通りをパレードする谷口会長(中央)最前列その左は広島の坪井会長。その左は被団協・田中事務局長。


市民と対話する池田早苗さん。質間に答えているのでしょうか。池田さんの表情も真剣ですし、向かい合う若い女性は何か反論したそうな様子です。


国連で開かれていた原爆展の会場で、説明している小峰秀孝さん。聞き入っている2人は親子でしょうか。2人とも真剣な表情です。

NPT再検討会議閉幕 最終文章、全会一致で選択

 5月3日からニューヨークの国連本部で開かれていた核不拡散条約(NPT)再検討会議は、28日、最終文書を全会一致で採択して閉幕しました。一時は、文書の採択が危ぶまれる情報も流れましたが、さすがに5年前の轍は踏むまいと言う決意が、この結果につながったものと思われます。新聞などを見ても、核保有国と非保有国の間の確執は大変だったようです。
この日採択された『最終文書』の骨子は、末尾に掲げておきます。核兵器廃絶への期限を明らかにすることはできませんでしたが、核保有国の課題も明示されましたし、核兵器禁止条約についても言及しています。
日本からは、総理大臣も外務大臣も出席しませんでしたが、長崎被災協からの3名をはじめ、参加した多くの被爆者の奮闘の賜物といえるでしょう。(山田)

最終合意文書(骨子)
● 核廃絶へ向けた具体的措置を含む行動計画で合意
● 核兵器禁止条約の交渉検討の動きに注目

● 核保有国は、核兵器の削減や役割の見直しについて2014年の(NPT再検討会議)準備会合に報告
● 中東に核と大量破壊兵器のない地域をつくるための国際会議を2012年に開催
● インド、イスラ工ル、パキスタンにNPT加盟を要請

● 北朝鮮の核は不拡散体制への重大な挑戦と確認し、6者協議での約束の履行を要求

(朝日新聞による)


長崎被災協5月の動き

1日 メーデー 県9条の会の呼びかけ人として挨拶 (山田)
3日 長崎市公会堂で9条フェスタ。「ノーモアヒバクシヤ9条の会」も壇上で
アピール (坂本、田中、山田)
4日 県九条の会主催の 「憲法さるく」
8日 集団訴訟を支援する会が長崎駅前高架広場で街頭宣伝
12日 諌早被災協総会 (山田)
13日 会計監査
14日 第1回理事会
15日 県原水協総会であいさつ (山田)
20日 8月の政府への要望打ち合わせ (山田)

いきいきコープ理事会(柿田)

21日 国民救援会総会 (山田)
22日 国家公務員労組婦人部学習集会 (山田)
27日 平和推進協会理事会 (谷口)
28日 第57回定例評議員会・理事会 厚生労働大臣への抗議文採択、送付
29日 県9条の会呼びかけ人会議 (山田)
県2世の会学習集会 (山田)