2013年6月9日発行の新聞『被団協』356号の内容をご紹介します。

憲法改悪阻止を前面に
=多様な活動方針を決定=
本年度第1回評議員会ひらく

本年度第1回評議員会と第2回理事会は5月31日午後2時から長崎被災協2階会議室で開催されました。議長には規約により谷口会長が就任、今年度の事業計画については山田事務局長が11の課題について報告・提案しました。

① これまでの国会議員選挙では、長崎被災協としては特定の政党を支持することはしてこなかったが、7月の参議院選挙は、直ちに憲法「改正」につながっており、私たちは憲法を守る立場から、参議院選挙により積極的に向き合う必要があると指摘しました。

② つぎに、原発問題については、政府は原発の再稼働の機会を伺っているが、これまでどおり原発廃止とエネルギー政策の転換を求めます。

③ 国家補償の被爆者援護法の制定を目指します。

④ 同時に、今の法律の下での政府の対応についても、その実態を市民の前に明らかにし、現在生じている原爆症認定審査のあり方についての問題も、2009年8月の確認にもとづき、「定期協議」の開催を求め、解決を図ります。

⑤ 昨年諌早市と長崎市にできた二世の組織とは密接な連携を取りながら、今後も提携して運動の前進を図ります。

⑥被災協の組織がない地域での組織化は手がつけられませんでしたが、今後、引き続き取り組みます。

⑦ 新しい法人制度へ移行する年ですがそれにふさわしい体制を築くことに努めます。

⑧ 学び合い、語り合う場を作るとともに、被爆体験の継承にも努めます。

⑨ 被爆70周年の再来年には被爆体験や被爆者の思いを次の世代に残す書籍の出版の準備に入ります。

⑩ 空襲被害者の方々との連携も深めます。

⑪ 以上の取り組みを成功させるためにも、募金運動に取り組みます。

福島・飯館村議会の皆さん

ようこそ被災協へ  5月23日午前9時、福島県飯館村議会から議長佐藤長平さんら14名の方が、原爆を受けたあとの政府の放射線対策や被爆者の状況などを、聞きたいと長崎被災協を訪れ、長崎被災協からは谷口会長が遠路を労って挨拶、山田事務局が自分と家族の被害状況、原爆被害への政府の対応などについて1時間近く報告しました。山田事務局長は、今でこそ原爆と放射線被害は切り離せないが、はじめは放射線のことは知らされず注意も受けなかったこと、放射線を浴びたことを証明することは極めて困難なため、現在なお、被爆者が苦しんでいることなどを報告、福島でもそれぞれに事故以来の行動などについて、記録を残しておくことが大切だと話しました。

憲法96条を変えてはならぬ

長崎県弁護士会が反対声明5月8日、長崎県弁護士会は「憲法96条の発議要件を緩和する改正に反対する声明」を発表しました。
この声明は、「昨年12月の選挙の結果、自由民主党、日本維新の会およびみんなの党の三党は、衆議院において3分の2以上の議席を占めるに至った。これら三党は、憲法第96条の発議要件を、衆参各院の3分の2以上の賛成から、過半数の賛成へ緩和しようとしている。
しかし、憲法第96条を改正して発議要件を緩和することは、以下のような重大な問題があるため、当会はこれに強く反対すると述べた上で、次のように問題点をあげています。
もし、憲法改正が議論の尽くされないまま安易になされるとすれば、憲法による基本的人権の保障が形骸化され、国の基本的なあり方が時の権力に都合よく変更されるおそれが生じることになる。
② 小選挙区制を主体とする選挙制度の下では、過半数の国民の支持を得ていなくても、過半数の議席を確保することができ、憲法改正の発議ができることになり、安易な憲法改正を許し、ここでも基本的人権の保障が形骸化する恐れがある。


  一向に改善されない原爆症認定審査  審査のあり方はおかしいと言い続けて

私たちは、このところずっと、原爆症認定審査はおかしいと言い続けてきました。原爆症認定を申請した人達の中でも、却下されて異議申し立てをした人達は、直接その声を担当係官に、ぶつけてきました。私たちは書面にしたため、口頭意見陳述の機会に口でも伝え、資料も提出してきました。しかし、それらに対する回答はないままに、100人のうち異議が認められるのは1人か2人。残りの98人か、場合によっては99人は、私たちの異議に対する回答はないまま、「棄却」されてるのです。

一向に改善されない2.3分審査

上に掲げたのは、ごく最近の審査結果の報告です。厚生労働省のホームページからコピーしました。
審査は午前10時に始まり、終了時間は書いてありませんが、午後5時と推定しました。昼食時間を1時間とすると、審査の時間は6時間です。この日審査をしたのは、認定審査と異議申し立て審査、併せて106件です。すると、1件あたりの所要時間は、すぐに計算できます。そう3分24秒です。
私たちは、こんな短時間で審査ができるはずがない、と言い続けてきました。申請書と医師に診断書に意見書。この3種類だけでも、3分で目を通すことはできないでしょう。さらに最近は、検査結果など7種類、8種類の書類の提出が求められています。しかも、書類が揃わなければ審査には入れませんという言葉まで付いているのです。

どうなったの4年前の確認書

いまから4年前の平成21年8月6日、日本被団協の代表委員と事務局長、そして当時の麻生総理との間で1通の確認書が交わされました。
その第4項にはこう書いてあります。「厚生労働大臣と被団協・原告団・弁護団は、定期協議の場を設け、今後訴訟で争う必要のないよう、この定期協議の場を通じて解決を図る」
定期協議はこれまでに2回開かれたようですが、極めて不定期で、次回の開催期日も決まっていません。
私たちは、早急な「定期協議会」の開催を求めてやみません。  (山田拓民)

 

これが自民党の日本国憲法「改正」案 ◇ その4

憲法96条の発議要件を緩和する改正に反対する声明

日本国憲法 自民党憲法改正案

第63条
内閣総理大臣及びその他の国務大臣は、議案について 発言するため、両院に出席することができる。
2 内閣総理大臣及びその他の国 務大臣ほ、答弁又は説明のため議員から出席を求められたとき は、出席しなければならない。
ただし、職務の遂行上特に必要がある場合は、この限りではない。

第63条
内閣総理大臣及びその他の国務大臣は、議案について発言するため、両院に出席することができる。

2 内閣総理大臣及びその他の国務大臣は、答弁又は説明のため議員から出席を求められたときは、出席しなければならない。
ただし、職務の遂行上特に必要がある場合は、この限りではない。

64条の2
国は政党が議会制民主主義に不可欠の存在であることに鑑み、その活動の公正の確認及び、その健全な発展に努めなければならない


2 政党の政治活動自由は、保正する。

3 前2項に定めるもののほか、政党に関する事項は、法律で定める。