2016年3月9日発行の新聞『被団協』389号の内容をご紹介します。

戦争のできる国めざし,改憲急ぐ自民党
野党は反発、公明も警戒(?)

今年度の国の予算案は3月1日の衆議院本会議へ提出され、同日可決され、参議院へ送付されました。このあと、参議院の決めた予算額 。が衆議院の額予算額 と異なっていて、両議院の協議会を開いても意見が一致しないときとか、参議院が衆議院が可決した議案を受け取って30日以内に議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする、と憲法で定めている(憲法第60条2項)ので、それに従って衆議院で議決したものが国会の議決として扱われることになります。
ところで、国会(衆議院)で決まった今年度の予算は総額96兆7218億円で、4年連続「過去最大」を更新することになりました。
こうした大盤振舞いも、今年夏の参議院選挙を意識したものなのでしょうか。夏の参議院選挙では、改憲勢力による「3分の2」の確保目指した上で憲法改正に取り組む意欲を示したと3月2日の「朝日」は報じたのでした。
その2日の参議院予算委員会では、総理は憲法改正について「私の在任中に成し遂げたいと考えている」と述べ、改憲に強い意欲を示し、2018年9月までの総裁の任期を念頭に国会での発議と国民投票による実現を目指す考えを示したと3月3日の「朝日」は報道しています。
また、3月3日の長崎新聞も「首相、在任中改憲発言」の見出しで、「安倍晋三首相が2日、目指す憲法改正ヘアクセルを踏み込んだ。首相在任中に実現したいと参院予算委員会で意欲を表明。夏の参院選で、改憲案の国会発議に必要な3分の2以上の勢力確保を狙う。他党の理解が得やすい条項を突破口にした後、戦力不保持を定めた9条2項の改正を視野に入れる2段階戦略を描いている。ただ連立相手の公明党は警戒感を強め、野党も反発。参院選に合わせて衆院選を実施する「同日選」論も絡み、与野党で思惑が交錯した。」という記事を掲載しました。


取り組もう
戦争法廃止求める署名運動

いま、安倍内閣は日本国憲法を改悪し、私たちの国日本を戦争のできる国にしようとしているときだけに、全国各都道府県でこの安倍構想に反対し、日本国憲法を守ろうと、様々な取り組みが進んでいます。中でも 署名運動が大きく繰り広げられており長崎の繁華街の街頭でもこの取り組
みは展開されていて、長崎被災協も参加してきましたが、これからも、さらに力を入れて取り組みたいと思いますので、よろしくお願い致します。

戦争法の廃止を求める統一署名
2015年9月19日に参議駝で’強行採決され、”成立”した「平和安全保障関連法」は、憲法9条禁じる国国際紛争解決のための武力行使を可能とするもので、憲法違反であることは明らかです。したがって、「平和安全」の名にかかわらず、その内容はまぎれも々く戦争法です。また、憲法解釈を180度くつがえした閣議決定に基づいた違憲の立法は、内閣と国会による立憲主養の否定であり、断じて認めることはできません。
この戦争法が発動されれぱ、日本は海外で戦争する国になり、自衛隊は海外で殺し、殺されことになり、日本自体が武力紛争の当事者となって「平和安全」とはまったく逆の事態を紹くことになります。
戦争法に対しては、国会審議の段階で.憲法の専門家をはじめ、さまざまな分野の人びとから反対の戸が上がり、世論調査でも8割が政府の説明は不十分と答えていました。全国の人びとの強い反対の声を国会内の数の力で踏みにじった採決は、主権在民と民主主義を壊す暴挙であり、正当性を欠くものです。
この趣旨から、次の事項について請願します。
【請願事項】
戦争法である「平和安全保障関連法」をすみやかに廃止してください。
立憲主義の原則を堅持し、憲法9条を守り、いかしてください。


被爆体験者は被爆者だ!
立ち上がった161名

爆心地から12キロ以内の被爆未指定地区で被爆した161名の「被爆体験者」が県と市に対して、「被爆者健康手帳」の交付を求めて起こした裁判で、2月22日、長崎地裁は、年間の被ばく線量が25ミリシーベルト以上と推定される10名については訴えを認めたものの、151人については訴えを認めず、却下しました。また提訴後になくなった9名については、それぞれ遺族が裁判を引き継ごうとしましたが、裁判所は原告の死亡により裁判は終了したと主張、遺族による継承は認めませんでした。
被爆地域をどの範囲で認めるのかについては、本来爆心地から等距離の範囲で決めるべきだったのに、政府は当初、原爆の影響を当時の長崎市内に限定しだため、説明できない奇妙な制
度となってしまい、今日に至っています。
被爆地域の地図を見るとわかるように、被爆地域に指定されている範囲は南には12キロと長くかなりの面積になるのに、東・北・西は、僅かな面積になっています。その爆心地から東、北、西、の地域にあっては、長崎市の外にかなりの地域が広がっているのに、そこの一部では、特定の病気になると被爆者と認められるのですが、それ以外はまさに蚊帳の外なのです。被爆から71年目に入った今でもこの制度は続いているのです。
とにかく、原爆の被害は小さく小さく見せようというのが、これまでの政府の態度なのです。
原爆の爆発とともに、放射線を発生する物質をふくんだ破片は地上に散乱したことでしょう。
そんなもの目にも見えないものを騒ぎたてなくっても……といえるでしょうか。今度の裁判で認められなかった人たちも、苦しみに我慢できなくて立ち上がったのです。


第4回被爆者運動継承の学習交流会

2月6日(土)13時半より福岡県教育会館に
おいて九州ブロック被爆二世連絡会の主催で50
名が参加し、開催されました。長崎から二世の会
会員6名が参加しました。
講演は日本被団協の田中煕巳事務局長による「日本被団協の60年の活動について」と、九州
大学大学院准教授の直野章子氏による「日本被団協・被爆者運動の歴史から学ぶもの」でした。
二世だけでなく、福岡県被団協の被爆者の方々も参加、被爆者の願い、二世の思いも出されました。毎年、学習を積み重ね交流しています。


ノーモアヒバクシャ訴訟

5名の被爆者が原告になってたたかっている「ノーモアヒパクシャ訴訟」の口頭弁論が2月2ヨ13時半より長崎地裁にておこなわれ、支援者12名が傍聴しました。
原告側の森永正之弁護士が「がんの放射線起因性こついて」意見陳述書を提出しました。
固形がんには統計的に有意義な線量反応が認めらていること、固形がんにはしきい値がないこと、若年被爆のリスクを重視しなけれぱなiいことなど主張しました。


*県委託事業「独居被爆者訪問」*

2月8日、9日に横山照子理事・相談員と柿田富美枝・事務局次長、五島在住の江川干代人・相談員とともに五島市内の被爆者4名のご自宅を訪問しました。
2月15日は同じく横山理事と柿田次長、そして川棚町在住の森田宏相談員の案内で3名を訪問しました。
3月4日は大村市へ横山理事、柿田次長と大村支部の橋支部長らの協力で2名を訪問しました。

被爆体験を聞き、今の暮らしで困っていることはないのかなどをお聞きました。
一人暮らしならではの知恵と工夫で生活され、子どもさんや親戚の方が時々様子を見に来てくれるなど、まわりに支えられ、暮らされていました。ただ病気を抱える人たちも多くおられ、不安な生活でもあり、介護保険の活用など提案しました。
被爆者相談がありましたらお電話ください。
被災協事務所・電話095-844-0958


1月の被災協・事務局日誌

1日 原爆死没者追悼祈念式典の被爆者訴え」の件で田上市長が被爆5団体と面談
(山田・田中・柿田)
2日 ノーモアヒバクシヤ訴訟
5日 被爆2世の施策を長崎市、長崎県へ要請 (山田・森内・二世の会)
6日 第4回被爆者運動継承の学習交流会
8日~9日 独居被爆者訪問事業 五島市
15日 独居被爆者訪問事業 川棚市
18日 「被爆者の訴え」の件で被爆5団体が長崎市市議会議長と面談 (山田・柿田)
22日 「被爆体験者訴訟・第2陣」長崎地裁判決 (山田)
29日~3月1日 3月1日・焼津ビキニ・デー集会 (横山)