2004年2月9日発行の新聞『被団協』244号の内容をご紹介します。

『被団協』244号目次
1・1月26日原告のつどいを開催
2・「手帳」申請審査に担当者を増員
3・長崎原爆青年乙女の会、研修会
4・支部・会の動き


原告木村さんが被爆体験を陳述

第5回口頭弁論ひらく

原爆症認定集団訴訟第5回口頭弁論は1月13日午後1時10分から傍聴席を埋め尽くした長崎地裁401号法廷でひらかれました。
この日、朝から雪が舞う中、8名の原告をはしめ、諫早被災協の7名、青年乙女の会6名など地裁協の各会・支部の代表、さらに長崎証言の会、民医連、原水協、新婦人、退教協、比較の政府をつくる会、いきいきコープ、山下医院などの代表ら計77名が地裁に集まりました。
法廷では、木村不二男さんが原告としての意見陳述に立ち、被爆の生々しい体験と度重なる病気との闘いについて声をつまらせながら切々と訴えると傍聴席では涙をぬぐう姿も見られました。
ついで横山巌弁護士は、戦後日米両国政府が被爆者を放置してきた事実を指摘、現在もまた原爆症認定申請を切り捨てている実態を明らかにした上で、現行「援護に関する法律」の趣旨・目的からすれば、被爆者が被った原爆被害の実態に即して、今なお苦しめられている被爆者の救済にこそ戸からを注ぐべきだ、と主張しました。
閉廷後自治会館に移動してひらかれた報告集会では、中村尚達弁護団長が法廷での内容について説明、原告の森内寛さんが「裁判がどう進んでいくのか不安だったが、今日の横山弁護士の意見陳述を聞いて大いに励まされた。最後までがんばる」と述べると、会場は大きな拍手に包まれ、熱気あふれる報告集会となりました。

1月26日原告のつどいを開催

今年最初の「原告のつどい」は、1月26日午前11時から長崎被災協会議室でひらかれ、原告6名のほか提訴予定者、相談員など16名が参加しました。冒頭に山田事務局長が裁判の流れや法律用語についての解説、ついで原告北尾孝子さんが被爆投資の悲惨な状況、今なお続く健康不安を語り、その後新年会を兼ねて会食、懇談しました。
会では、原告同士の連絡を密にする必要があるとの意見も出されました。葉山会長は、身体に気をつけ、一緒に頑張り

◇自衛隊のイラク派遣反対!!◇
市民集会に400名結集!!長崎被災協からも10名参加

  1月15日の陸上自衛隊先遣隊の出発を前に、11日午後2時から長崎市民会館前広場で「止めよう!自衛隊のイラク派兵」長崎市民集会がひらかれ、400名が参加、集会後、繁華街を通って、湊公園まえピースパレードを行い、「自衛隊をイラクへ送るな」「憲法9条を守れ」「二度と被爆者をつくるな」の声をあげ、市民にアピールしました。
この集会は「戦争法に反対する市民の会」の呼びかけによるもので、長崎市内の平和団体、市民団体が結集する集会となりました。長崎被災協からも10名が参加しました。
この日は、全国的にも各地で「イラク派兵反対」の集会がひらかれました。今国会にも目白押しの有事関連法案
1月19日に招集された第159通常国会には、憲法改正を視野に入れた「国民投票法案」などの他、有事関連の7つの法案と3つの条約、協定案の提出も予定されています。
有事関連法案とは、昨年成立した武力攻撃事態法と一体の「国民保護法案」、有事の際の「特定公共施設の利用に関する法案」、「捕虜等の取扱に関する法案」など7本。

「手帳」申請審査に担当者を増員
―県・市との合同会議で県が回答ー

県下の被爆者団体や原爆ホームなどの被爆者関係機関と長崎県、長崎市の担当者の合同会議が、1月28日午後2時から長崎筑後町の「セントヒル長崎」でひらかれ、行政側からは今年度の事業の概要と平成16年度国家予算案のうちの被爆者関係部分などを報告、被爆者団体などからは県・市への要望を行いました。
長崎被災協から県・市への要望は下の別掲にありますのでご覧下さい。なお、被爆者健康手帳交付申請への審査の遅れについて県では担当者を増やして対応すると答えました。原爆症認定審査の改善など
県・市へ提出した要望書の内容

  1. 1月29日に県・市と被爆者団体などとの合同会議へ、長崎被災協から提出した「要望書」の内容(要旨)は次の通りです。現行原始楽団被爆者に対する援護に関する法律を国家補償に基づく被爆者援護措置へ発展・拡充させるため、広島・長崎原爆被爆者援護法対策促進協議会(広島県・市と長崎県・市の首長、議長で構成される協議会で八者協と略称される)から政府への要望事項にその旨を盛り込んでいただきたい。
  2. 原爆症認定審査のあり方の改善にご尽力頂きたい。
    現在の原爆症認定審査で、特に不都合なのは次の点です。
    ① 審査内容が不透明であること。
    ② 原爆被害の実態を無視した審査であること。
    ③ 「戦争遂行主体であった国が自らの責任で被爆者の救済をはかるものであって、制度の根底に国家補償的配慮がある」と最高裁が指摘した原爆医療法の性格を踏みにじるものであること。
  3. 被爆者健康手帳交付申請についての審査を公正かつ迅速に行って頂きたい。
  4. 在外被爆者への現行法の完全な適用実現に、一層のご尽力を頂きたい。
  5. 被爆体験者への医療給付に関わる「居住条件」の撤廃にご尽力頂きたい。

長崎原爆青年乙女の会

野母崎で研修会

長崎原爆青年乙女の会は原爆症認定集団訴訟・第5回口頭弁論があった1月13日、法廷を傍聴後、西彼杵郡野母崎町の「陽の岬温泉・海の健康村」に移動して「新年の研修会」を開催しました。
この「研修会」には会員7名が参加して、これからの青年乙女の会のあり方などについてざっくばらんに意見を交換、会員の広瀬方人さんの福岡高裁での判決(2月27日)には、4名が青年乙女の会の会を代表して傍聴に参加することを決めました。
このあと新鮮な海の幸を賞味し、温泉を楽しんで交流を深めました。

支部・会の動き

西浦上支部
キノコを話題に

西浦上支部では1月11日正午から広瀬支部長宅で「新年のつどい」を開き、8名が集まって、食事をしながら懇談しました。
恒例の長崎大学薬学部を退職された大橋裕先生の講和は「薬や健康食品として用いられるキノコ」というテーマ。資料が配布され、キノコを使ったガンの免疫療法についての最新情報など興味深い内容でした。
自己紹介の後、それぞれに被爆体験や平和への思いを語り合い、自分にできる被爆者運動を続けていくことの大切さを再確認したのでした。

喪明けにご寄付
長崎市矢の平・森野クミ様から亡夫の香典返しとして長崎被災協へ2万円いただきました。また、諫早市長田町の故泉チヤ様のご遺族様からと故山口キワ様のご遺族様から香典返しとして、諫早被災協へ多額のご寄付を頂きました。心からご冥福をお祈りいたします。お知らせ
これまで長崎県原水協から毎年年末に被爆者へのお見舞金が贈られてきましたが、昨年末から長崎被災協の運動支援募金として頂く事になりました。こうして昨年末には、33万円が贈られました。