2004年5月9日発行の新聞『被団協』247号の内容をご紹介します。

『被団協』247号目次
1・5・3憲法記念集会
2・さらに大きな運動へ
3・2004年度総会アピール
4・寺井一通氏作詞作曲の集団訴訟支援の歌
5・25日に第7回口頭弁論
6・被爆60周年への飛躍の年に
7・「圏外居住者にも被爆の影響」
8・国会後半に不気味な『課題』
9・長崎被災協4月のうごき

許すな!憲法改悪
5・3憲法記念集会

勤労福祉会館に180人集う隊

憲法記念の5月3日、長崎市桜町の勤労福祉会館講堂で、「許すな!憲法改悪・長崎の集い」がひらかれ、、180人が集まりました。この集会は、フォークシンガー川田金太郎さんや長崎被災協の葉山会長ら8名の呼びかけで実行委員会がつくられ、主催したもの。
集会は午前10時半からはじまり、大阪電気通信大学の足立英郎助教授が「改憲論の現状と私たちの課題」のテーマで講演、周辺事態法が成立した99年以降に改憲論が集中しており、集団的自衛権の突破が改憲の主要な狙いとなっていることを挙げるとともに、国民の平和意識の変化など現状に対するリアルな認識と適切な批判が必要と、改憲阻止の運動の課題を指摘しました。
長崎被災協もこの集会の実行委員会に参加しました。

▽支援の歌『決意』も完成
さらに大きな運動
「支援する会」が総会ひらく

 原昨年長崎で3名、愛知で1名、北海道で3名、計7名の原爆症認定申請を却下された被爆者が、それぞれの地方裁判所に却下した厚生労働大臣を被告とする訴状を提出して1年目の4月17日、「原爆症認定集団訴訟を支援する会・長崎」は、長崎市岡町・平和公園そばの長崎被災協講堂で、結成2年目の総会をひらきました。
総会ではオープニングに長崎市内で毎月9日に平和のためのコンサートをつづけてきた歌手寺井一通さんが集団訴訟をはげます歌として作詞作曲した「決意」を披露。長崎被災協の吉田勲さんを議長に選出、①原爆症認定制度と訴訟の意義をひろめること、②支援する会の会員を拡大すること、③公正判決を求める署名運動を推進すること、④裁判の傍聴に参加すること、⑤募金運動にとりくむこと、⑥被爆証言の聞きとり語り伝え運動にとりくむこと、を私たちの課題として確認、「原爆症認定集団訴訟支援の輪を広げ原告として立ち上がった被爆者をはげましましょう」などを市民・県民に呼びかける集会アピールを採択しました。

 2004年度総会アピール

昨年のきょう、原爆症認定申請を却下された長崎で3名、愛知で1名、北海道で3名の被爆者が、却下処分の取り消しを求めて長崎地裁、名古屋地裁、札幌地裁へ訴状を提出、原爆症認定集団訴訟がはじまりました。それから1年、裁判に加わった被爆者は、15都道府県131名にのぼっています。
1978年3月の最高裁判決が指摘しているように、原爆によるケガや病気は国が行なった戦争によってもたらされたものであり、原爆症認定制度は戦争遂行主体であった国が自らの責任で被害者を救済しようという制度なのであって、その根底に国家補償的配慮があることは否定できない制度なのです。
しかし戦争の被害は国民としてがまんするのが当たり前だという態度に固執する政府は、原爆の被害についてもその実態を隠し、救済の枠をせばめ、原爆症の認定率は低下の一途をたどったのでした。
さらにアメリカの核戦略の下で核の傘が強化されるに伴い、またいわゆる冷戦終結後は安保条約の見直し、わが国の有事法制が進行するなかで、この傾向はいっそう強まり、最近の原爆症認定率は20%を割り込む状況となったのです。
原爆症認定集団訴訟は、改めて、政府に原爆の被害のありのままを直視し、ふたたび被爆者をつくらない決意に満ちた被爆者対策を実施するよう求める裁判であり、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意」して確定した日本国憲法を活かすための裁判なのです。
提訴1周年の意義ある日に2004年度の総会をひらいた私たちは、市民・県民の皆さん方へ訴えます。

原爆症認定集団訴訟支援の輪をひろげ、原告として立ち上がった被爆者をはげましましょう。
原爆症認定集団訴訟原告全員の勝訴を実現しましょう。
国民に戦争の被害をがまんさせる政治を止めさせ、「戦争をしない国」づくりにつとめましょう。
原爆の被害を明らかにし、核兵器が絶対に使っていけない兵器であることを世界中に訴えましょう。
2004年4月17日
原爆症認定集団訴訟を支援する会・長崎 04年度総会

寺井一通さんが作詞・作曲した集団訴訟支援の歌

決  意
~原爆症認定集団訴訟を支援するために~
詞・曲/寺井一通
かけがえのない生命  たったひとつの生命
その生命を削りながら  生き抜いたあなた
広島・長崎の  遠いあの日の夏
あの夏の日から  歩き続けたあなた

今受け止めたい  あなたの痛みを
今引き継ぎたい  あなたの思いを
二度と戦争を   起こさないように
二度と被爆者を  作らないように

平和の歌が流れ  大地は緑あふれ
あの日は遠く過ぎ去ったと  微笑み交わす陰で
被爆者の苦しみは  絶えることなく続き
あの夏の日から  叫び続けたあなた

今受け止めたい   あなたの叫びを
今引き継ぎたい  あなたの心を
二度と戦争を   起こさないように
二度と被爆者を  作らないように

被爆者の願いは  未来に生きる人へ
核のないこの世界を  確かに残すこと
新しい時代の風が 平和を願う声が
あなたのその胸に 聞こえてくるでしょう

今受け止めたい  あなたの勇気を
今引き継ぎたい  あなたの願い
二度と戦争を   起こさないように
二度と被爆者を  作らないように

二度と戦争を   起こさないように
二度と被爆者を  作らないように

原爆症認定集団訴訟
25日に第7回口頭弁論

原告1人ふえ、27名に

 長崎地裁での原爆症認定集団訴訟第7回口頭弁論は、5月25日午後1時10分からひらかれます。傍聴券の抽選の関係もあり、12時半までには裁判所へ集まるよう、支援する会では呼びかけています。前回(3月16日)は原告から要請していた法廷での原爆被害の実写ビデオの上映を裁判所が保留した経過もあって、今回の裁判所の対応が注目されます。なお原告団に深井治夫さんが加わり、原告は27名となります。

被爆60周年への飛躍の年に
29日に定例評議員会

 ことしの事業計画を確立し、予算を決める第45回定例評議員会は、5月29日午後2時から長崎市岡町(平和公園そば)の長崎被災協講堂で開催されます。ことしは、「基本要求」をつくって10年目の年。イラクでは悲惨な殺戮が止まず、ブッシュ政権は核兵器廃絶に背を向ける態度を取り続け、被爆60周年を来年に、日本被団協・長崎被災協結成50周年を再来年にひかえて、どのような運動を組立てるかは大きな課題となっています。

支部・会での総会はじまる

香焼被災協
香焼被災協は4月27日午後1時半から同町中央公民館で今年度の総会をひらきました。
道下孝人さんを議長に選出した総会では、坂本フミエ会長が昨年1年間の香焼被災協の活動と決算を報告したのち、いろいろと課題も多い今年度も核兵器の廃絶と原爆被害への国家補償を求める運動にとりくむという今年度の運動方針案と予算案を提案、前回一致で採択しました。
また、役員人事については坂本会長他全員留任と決定しました。

諫早被災協
諫早被災協の今年度の総会は、4月30日の午後1時半から同市長田町の公民館でひらかれました。
総会は昨年亡くなった会員の方々への黙とうではじまり、長年役員をつとめられた西山さん、前田さんへの感謝状を贈呈したのち毎熊茂会長があいさつ、ついで吉次諫早市長、葉山長崎被災協会長が来賓としての祝辞を述べました。このあと長浜光芳さんを議長に選出。事業報告決算報告、監査報告を全員の拍手で承認。今年度予算を確定しました。


「圏外居住者にも被爆の影響」
住民調査結果まとまる-

 一昨年4月から、被爆地域を除く爆心地から12キロの範囲が、新たに健康診断特例区域に認められ、原爆が投下された当時、その区域にいた人、および胎児には第2種健康診断受診者証が交付されることになりました。
そして、胎児だった人を除くこの人たちが、身の不調を訴える場合、保健婦の面談、精神科医の検査を受け、その不調が被爆体験による精神的な影響にもとづくものと判断された場合、被爆体験者医療受給者証が交付され、病院などでの自己負担部分に対し医療費が支給されます。居住地による差別・・・・・・・
ところがどうしたことか、この医療費の支給は、現在も12キロ圏内に住んでいる人に限られてきたのです。
このような扱いは不当と、長崎被災協としても改善を要求してきました。
その後、長崎県や長崎市も改善の根拠づくりにと、新たに指定された「特定区域」で被爆し、現在12キロ圏外に住んでいる人たちの調査にとりかかり、3月31日付で調査結果がまとまりました。厚生労働省の対応は?
結果は、「12キロ圏外に住んでいる被爆体験住民についても、被爆体験に関連し、他の要因では説明困難な精神健康の悪化が認められた」ということです。当然といえば当然のこと。厚生労働省の対応が注目されます。  (山田)

国会後半に不気味な『課題』
有事7法案の審議はじまる

  今国会の重要な課題に「有事7法案」と呼ばれるものがあります。いずれも国民の基本的人権にかかわる法案です。それは―――

① 国民保護法案
有事の際に、国民をどう守るかという内容で、憲法が保障する国民の自由と権利は尊重するとうたわれていますが、国民には協力に努める義務が定められています。従わない者には刑罰が課せられます。

② 米軍支援法案
緊急な事態が発生したとき、首相は、米軍に提供するために国民の土地や建物を使うことができます。それを拒む者には刑罰が課せられます。

③ 軍用品海上規制法案
わが国周辺の海上で、船舶の航行を規制する法律。
停泊命令や検査、積荷の廃棄、わが国の港への回航などが行われます。

④ 自衛隊法改正案
自衛隊が物品や役務を米軍に提供できるようにする法律です。

⑤ 特定公共施設利用法案
この法律によって、いざというときに港湾、飛行場、道路や海上、空、そして電波などを自衛隊のために使えるようになります。

⑥ 捕虜取り扱い法案
国際法に従って、捕虜を処遇することを定める法律です。

⑦ 非人道的行為処罰法案
正当な理由がないのに、戦闘行為として重要な文化財などを壊した場合の処罰規定。捕虜の送還を遅延させた時も処罰されます。


長崎被災協4月のうごき

 

2日
県原対課から12キロ圏外の調査結果についての報告のため来訪
林逸美さんを講師に語り部を中心とした発声練習のつどいを開催
4日
鎌田定夫さんをしのぶ会に参加
7日
集団訴訟原告のつどいを開催
9日
新聞『被団協』発送作業
秋に長崎で開催される全国平和教育シンポジュウム打ち合わせ会に出席
11日
集団訴訟全国連絡会結成集会に参加
12日
東京の東訴訟で敗訴した厚生労働大臣が控訴
13日
厚生労働大臣宛に抗議をこめた控訴撤回要請書を送付
5・3憲法集会実行委員会に出席
在外被爆者問題での講演会に出席
17日
提訴一周年を兼ねて集団訴訟を支援する会・長崎が第2回総会
24日
東京で開かれた日本被団協・日本科学者会議主催の「被爆者問題研究会」に出席
27日
香焼被災協が総会
30日
諫早被災協が総会