2012年5月9日発行の新聞『被団協』343号の内容をご紹介します。


新被爆67年年度の取組みいよいよ
スタート
5月30日に理事会・評議会択

3月の理事会、評議員会で確認した本年度の運動方針の骨子は次のとおり。
①原子力発電所の新設はもとより、現在ある原発の再稼動にも反対し、原発から自然エネルギーへとエネルギー政策の転換を要求します。
②憲法施行65周年にふさわしく、憲法を守り、戟争も核兵器もない世界をめざします。
③原爆医療法ができて55年。現行法の問題点を明らかにし、国家補償の被爆者援護法の制定をめざします。
④原爆被害の実態を国の内外で明らかにします。福島原発被害についても福島県民と連帯してとりくみます。
⑤被爆二世、三世の組織化をめざし、交流を深めます。
⑥支部のない地域での組織化を図ります。
⑦世界の、県内の動きについて学びあう機会をつくります。
⑧新しい法人組織へ移行します。
⑨空襲での焼夷弾などの被害者とも連帯を図ります。


東京大空襲訴訟・高裁も不当な判決

およそ10万人が犠牲となった1945年3月10日の東京大空襲の被害者・遺族ら113人が原告となって、国に謝罪と総額約12億4千万円の補償を求めてきた裁判の控訴審で、4月25日、東京高等裁判所は、原告の請求を認めない不当な判決を下しました。
この判決は、かって最高裁が示した「戦争被害受忍論」(戦争の被害は、国民として受忍するのが当然という考え。受忍=がまん)の立場に立つものであって、その後、孫振斗訴訟で最高裁が示した「原爆医療法には国家補償的配慮がある」という視点に逆らう判決だと、と山田事務局長は話しています。
東京大空襲訴訟原告団・弁護団は、怒りを込めて、支援者らとともに上告の準備に入りました。

 


『今年も元気に頑張ろう』
1人1,000円の特別募金も決定。諫早被災協が総会ひらく

 諌早被災協は、4月25日、諌早市長田町公民館で、第49回総会を開催し、平成23年事業報告、収支決算報告・監査報告を原案通り承認、平成24年度予算を確定し、さらに会員1人当たり年額3000円の会費は4月30日までに納入することを確認、会員1人当たり1000円の特別募金を了承して閉会しました。

前道光義会長は、「高齢化し会員は毎年10名ほどが亡くなっているが、私たちは共に力をあわせ、被爆者運動に取り組んでいこう」と挨拶、長崎被災協の谷口会長も「核と人類は共存できない。日本被団協に結集し、核兵器廃絶、援護法改正にとりくもう」と新年度への決意を述べました。
諌早市からは担当の3名が出席しましたが、代表して川口健康部長が諌早市長のメッセージを代読、また柿田事務局次長は「諌早被災協で250通の被爆2世のアンケートが集められたのは、子を思う親心の現われと感謝しています。2世の会では、医療の保障を求めてゆくこと、被曝体験の聞き取りにとりくんでいくことを話し合っています。こうしたことの実現を歩めざしがんばりたい」と述べました。

矢の平被災協では 役員会ひらく

4月16日、矢の平被災協では役員会を開きました。この会議で、平成23年度の決算報告と24年度の予算案が提案され、いずれも了承されました。このあと、今年度の長崎被災協の活動方針、原爆症認定制度の在り方についての日本被団協の提言、国家補償の被爆者援護法の内容などについて、柿田事務局次長から説明がありました。また、2世についての実態調査の必要性、60歳代の被爆者や2世・3世、遺族へ被災協運動への参加を呼びかけるとりくみ、原発問題、汚染がれきの処理問題、東日本の復興についても、意見が交わされました。  (柿田富美枝)

 


許せますか?こんな行政
厚生労働省は、こうして被爆者を切り捨てているのです。
行政庁は、申請により求められた許認可などを拒否する場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。(行政手続法8条1項)

2年ほど前に原爆症認定を申請していたAさん宅へ厚生労働省からの封書が届きました。それは、「下記の理由により認定することができませんので通知いたします。」という文書で、「記」のあとに19行の文章が並んでいました。
最後から8行半は、認定しなかった理由とは無関係の文章です。だから、認定しなかった理由は、第1段落の5行と第2没落の5行、そして第3段落の半行となります。ところが最初の段落の5行に書いてあるのは、認定の要件だけ。第2段落に書いてあるのは、疾病・障害認定審査会というところでいろいろ検討した結果、認定できないと判断したという、いわば経過報告。そして第3段落の半行ほどには、「貴殿の申請を却下します」と書いてあるだけ。
Aさんは、結局どうして自分の申請が認められなかったのかを知ることができませんでした。不審に思ったAさんは、同じ頃、原爆症認定を申請したBさん、Cさん宅を訪ねました。「家にもこぎゃんとの来たばい」と見せてくれた厚生労働大臣の手紙は、被爆した場所も病気も違うのに、宛名と日付以外は全く同じものでした。「理由の書けるごたる審査ばしよらん証拠たい」
Aさんの言葉に2人はうなづき、心の底からの憤りを覚えるのでした。 (山田拓民)


読書案内
  西岡 由香著 さよならアトミック・ドラゴン
-核と原発のお話-

アトミック・ドラゴン」って何だかわかりますよね。
そう、昨年3月11日を契機に、福島の原子力発電所で暴れだした、あの恐ろしい怪獣です。
あの事故の直後、電力会社や日本政府が言ったことは「ただちに健康に影響するものではない」でした。そして昨年暮れ、野田総理は原子炉が「冷温停止状態」に達したと事故の終息を宣言、世論の反発を招きました。
更に政府は、停止・休業中の原子力発電所の再開を企て、これも猛反対に会い立ち往生しています。また最近になって、福井県の敦賀原発の真下に活断層があるというこが報道され、原子力発電所危険性が指摘されています。
こんな時だけに、私たちはもっともっと原発について、さらには放射線について知っておく必要がありそうです。
折りも折り、長崎在住の漫画家西岡由香さんが、この3月、原発と放射線についての「本」 を出版されました。勿論、漫画で描かれた 「核と原発のお話」 です。どうです、漫画の主人公アユミちゃんと一緒に、原発や放射線について学んでみませんか?定価900円。  (山田拓民)


長崎被災協 4月の動き

2日 須磨子忌のつどい
11日 新聞『被団協』発送作業
12日 矢の平支部役員会 (柿田)
16日 平和サミット誘致について被爆者5団体が県へ要請 (山田)
17日 核兵器廃絶アピール署名運動実行委員会 (山田)
18日 核兵器廃絶研究センター開所記念シンポジウム (山田)
19日 県原対課・補助金交付のための監査 (柿田)
21日 長崎原爆資料館でパネル「原爆と人間」の展示はじまる
(長崎県原水協と共催)
22日 健康友の会総会(山田)
24日 いきいきコープ理事会(柿田)
25日 諌早披災協総会(谷口・柿田)
27日 相談員の会