2015年12月9日発行の新聞『被団協』386号の内容をご紹介します。

憲法違反の総理の言動

議員としての見識を欠く与党

2013年12月に成立した特定秘密保護法をめぐって、会計検査院が「特定秘密を含む文書が検査対象の省庁から提出されない恐れがあり、憲法の規定上問題」などと内閣官房に指摘していたことが検査院の取材でわかった、と12月5日の朝日新聞は報じています。内閣官房は施行後も従来通り検査に応じるよう各省庁に通達を出そうとしましたが、現在そのような通達は出されていないとのこと。
特定秘密保護法は秘密を指定した行政機関が「我が国の安全保障に著しい支障を及ぼす恐れがある」と判断すれば、国会などへの秘密の提供を拒めると規定している一方、憲法は国の収入支出の決算はすべて、毎年検査院が検査するとしています。
検査院は2013年9月、同法の原案について、検査対象の省庁から必要な文書の提供がされない懸念がある。などと内閣官房に指摘し、修正を求めましたが、内閣官房は「検査院と行政機関で調整すれば可能」として応じなかったといわれています。
よく知られているように、私たちの日本国憲法は、その『前文』の冒頭で、こう述べています。『日本国民は(中略)政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることがないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法はかかる原理に基づくものである。
われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。』そしてさらに、この憲法第97条は『この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、犯すことができない永久の権利として信託されたものである。』と述べ、同第98条はこの憲法が国の最高法規であることを明記すると共に、『その条項に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又一部は其の効力を有しない』と定められているのです。とすれば定められた手続きによって日本国憲法の改正の于続きをふまない限り、総理大臣がどんなに力んでみたところで、日本国憲法を変えることはできないのです。こんな事も判らない総理大臣だとすると、総理大臣の資格はないというほかありません。またこのような総理大臣の下で、その言動に違和感すら持たず、ひたすら総理の意のままに動こうとした国会議員の皆さん方も、議員としての見識を欠く呆れた集団と言わざるを得ないでしょう。
一刻も早く、こんな総理や閣僚・議員と袂を分かち、日本国憲法にもとづく明るい政府・国会を作ろうではありませんか。(山田拓民)


日本被団協・中央相談所委員会
九州ブロック相談事業講習会開催

12月5日(土)、12月6日(日)、長崎市のホテル清風で沖縄から福岡まで九州ブロックの被爆者や二世、支援者、220名の参加で開催されました。
市原対課長の林洋一氏、長崎市長の田上富久氏が核兵器廃絶への被爆者の果たす重要な役割、今後も語り伝えてほしいと挨拶しました。
*一日目講演は次のとおりです。
①「核兵器の禁止と廃絶へ:世界の動きと日本の課題」 長崎大学RECNA核兵器廃絶研究センター准教授 中村桂子氏
②「日本被団協の運動について」日本被団協事務局長 田中煕巳氏
3「被爆者の相談活動」日本被団協中央相談所委員会委員伊藤直子氏

*二日目の講演
「認知症になっても私らしい生き方、逝き方」出口病院師長 井口三恵子氏
今回、二世による群読(山口仙二氏被爆体験)、去年に続き、若年被爆者の証言(小峰秀孝氏)が行われました。
質疑応答の後、各県報告、二世交流会報告が行われました。福岡県被団協の藤田会長より来年の講習会の呼びかけの挨拶があり、最後に長崎の坂本副会長が挨拶し、講習会で学んだことを今後の活動に活かしていこうと締めくくりました


谷口会長、長崎新聞文化章贈呈式
11月18日午後4時より長崎新聞文化ホールにて2015年度受章者3名の授章式が開催されました。
谷口会長は原爆の熱線で全身を焼かれながらも奇跡的に一命を取り留め、半世紀以上にわたって国の内外で壮絶な体験を語り、核兵器の廃絶と被爆者の援護を訴え続けてきました。その実績が認められ受賞しました。(谷口会長は写真中央、さだまさし氏と松川暢男氏と)

「感銘。生き続けることが反原爆」
長崎被災協監事 萩谷瑞夫

熊本に続き2回目の参加。今回も共通して感じたのは、参加の皆さんが一家族として里帰りをしている雰囲気が漂うことです。しかし単に親睦だけではなく、そこには一本凛とした姿勢が感じられます。それは同じ非情な境遇から立ち上がり団結して紡ぎあげてきた被爆運動の原点を確かめ合い、さらに障害を乗り越え、さらに前進を買い取る決意が感じ取れるのです。
そのようなことが頭を過ぎるなかで次の三方の言葉が強い印象として残りました
横山さんの運動の2つの側面「自らの生命、健康維持のための国家保障と人類史的警告」、谷口さん
の「生命ある限り最後の被爆地にの叫び」そして田中さんの「生きよう、語りと声を出し続けよう」の言葉です。
二世の会の群読「灼かれてもなお」は圧巻で被爆者に勇気と元気を送りました。さらに中村桂子先生の「世界の動きと日本の課題」もわかりやすく、これからの運動に弾みをつけたと思います。
まずは「戦争法」の廃止、そして署名2,000万の達成を私の背中を押される集会となりました。

 日本被団協・中央相談所委員会・
「若年被爆者の証言」
 昨年の講習会では福岡県被団協会長の藤田浩氏が語り、今年は長崎原爆青年乙女の会事務局長の小峰秀孝氏が原爆によってひどい大やけどを負い、苦しかった頃の思いを語りました。
そして厳しく優しかった母親が103歳まで生きたことに触れ、「もう80歳ではなく、まだ80歳です。被爆の実相を語り伝えましょう。」と、力強く訴え、参加者の心を打ちました。

長崎県民医連事務局主査 牧山敬子
中村桂子さんの講演で国民の中にはアメリカの「核の傘」に守られている、中国脅威論などあるが、世界の流れの主流は非核兵器地帯を拡大する方向だと改めて確信しました。
九州各県の参加者が一同に会し交流した。長崎からは講師の中村桂子さんはじめ県原水協や原水禁の方々も参加。核兵器廃絶、被爆者援護連帯の気運を高めることを確認し合いました。
各県からは2世の方々も多く参加しており、活気ある集会となっていました。日本被団協がこの間、訴えている「継承」について確信の持てた集会でした。

 

生活協同組合ララコープ組合活動部 原崎健司
この度は、講習会に4名、参加させていただきまして誠に有難う御座いました。
長崎大学核兵器廃絶研究センターの中村准教授と日本被団協田中事務局長から、NPT再検討会議後の核兵器廃絶に向けた国内外の動きと法的枠組みについてお話し頂き、大変勉強になりました。
私たちも国際社会の動きを掴みながら核兵器廃絶に向けた運動を組合員と共に継続していくことの大切さ、そして被爆者の平均年齢も80歳を超えたいま、被爆の実相を語り継ぐ「継承」活動に
引き続き取り組んで参ります。これからも被爆者の皆様と協力し、平和な未来を子どもたちに残るよう活動をすすめていきます。

(なお長崎民医連様より保健師1名を派遣、2日間、被爆者を見守っていただきました。)


11月の活動報告

3日~4日 被団協代表理事会(谷口、山田)
5日 被爆5団体記者会見・核不拡散プルトニウム問題について(坂本)
被爆者と二世交流会・九ブロ講習会の成功を目指すつどい
10日 新聞発送作業
11日 事務局会議
18日 谷口会長・長崎新聞文化章授賞式
18日 全国代表者会議(山田、横山、森内、柿田)
10日 中央行動(山田、横山、森内、柿田)
20日 事務局会議
25日 事務局会議
29日 誓いの火ブラジル分灯セレモニー(谷口)